2025年10月15日(水)
裏金偽装 安倍派指示
東京地裁 大野被告元秘書が証言
自民党旧安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件で、2018~22年分の政治資金収支報告書に計約5100万円を記載しなかったとして政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた元参院議員の大野泰正被告(66)らの公判が14日、東京地裁(福家康史裁判長)でありました。岐阜県で大野被告の秘書だった女性が証人として出廷し、同派の指示で裏金を隠す“偽装工作”をしたと認めました。
旧安倍派では所属議員に政治資金パーティー券の販売ノルマを与え、ノルマを超えて納入した分を議員側に還流(返金)する形で裏金化していました。
偽装工作の手法は、22年8月に還流再開が決まった数日後、世耕弘成元経済産業相(自民党離党)が同派の会計責任者だった松本淳一郎氏に提案しました。ノルマ超過分の収入を“議員側のセミナーやパーティーの収入に上乗せして計上する”という内容です。
証人尋問で元秘書の女性は、同年9月に元政策秘書の岩田佳子被告から「派閥から600万円の還付金がきたので、自分のところのパーティーに広く薄く付け替えるように」との連絡があったと明かしました。
女性は「虚偽になるが、それでいいのか」と聞き返しましたが、派閥の指示だからと岩田被告に説得されて「従わないといけないと思った」と振り返りました。このときに「大野被告も了承していると思った」といいます。
同月27日と30日、大野被告側のパーティー券代が振り込まれる口座に計600万円が送金されました。
その後、同年に開催した大野被告のパーティー(計3回)で、当日分の売り上げに150万円ずつを加算する形で一度は収支報告書に記載。23年12月の訂正で上乗せ分を削除しました。
22年分のパーティー収入にも150万円を上乗せする予定でしたが、東京地検特捜部が会計帳簿などを押収したことで断念したと説明しました。
女性によると、大野被告の地元事務所は毎年30万円ほどを同派に納めず「中抜き」していました。