2025年10月14日(火)
ハマス人質20人を解放
イスラエルも拘束者釈放
停戦合意第1段階
【シャルムエルシェイク(エジプト)=米沢博史】イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意の第1段階として13日、パレスチナ・ガザ地区でハマスが生存しているイスラエル人人質20人を赤十字に引き渡し、全員がイスラエルに帰還、解放されました。イスラエルが拘束していたパレスチナ人囚人および被拘束者の釈放も始まりました。
ハマスは、第1弾として7人、次いで13人を赤十字に引き渡しました。今後、28人の遺体も引き渡される予定です。
これと引き換えにイスラエルは、パレスチナ人拘束者約2000人を釈放。この中には、終身刑または長期刑を受けていた250人と、2023年10月のガザ侵攻以降に拘束された1718人が含まれます。現在、イスラエルが拘束しているパレスチナ人の総数は1万1000人を超えています。
13日朝、人質7人が赤十字に引き渡されたという知らせが伝わると、テルアビブの「人質広場」に集まった人々が歓声を上げ、抱擁しあったり、涙を流したりして喜び合いました。ロイター通信によると、人質の1人、ニムロド・コーヘンさんの母親ビキさんは「喜びで胸が張り裂けそうです。もうすぐ息子を抱きしめられます」と語りました。
イスラエルでは、人質家族の中にネタニヤフ首相が自らの政治的生き残りのために意図的に戦争を長引かせ、人質解放を遅らせたとの根強い批判があり、毎週のように大きなデモが続いてきました。
一方、同日午前(日本時間夕方)、ガザ南部ハンユニスでは、釈放された人々を迎えようとナセル病院に多くの住民が集まっています。
停戦発効に伴い、ガザ北部には数十万人の市民が帰還していますが、イスラエル軍による住居やインフラの徹底した破壊を目の当たりにしています。
イスラエル軍が一部から撤退したとはいえ、ガザ地区の半分以上は今も占領下に置かれています。支援物資のガザへの搬入も始まっていますが、人々が生存できる最低条件を保証できるまでにはまだ時間がかかりそうです。