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2025年10月7日(火)

主張

ガザ集団殺害2年

停戦へイスラエルへの圧力を

 2023年10月7日にイスラム組織ハマスの奇襲攻撃に対しイスラエルがパレスチナ・ガザ地区への報復攻撃を開始して2年になります。

 今、ハマスによる人質全員の解放表明やイスラエルの一部攻撃停止命令など新たな動きが出ています。これを恒久的な停戦につなげていくことが何よりも必要です。ガザでの極限的な惨状を終わらせ、全面的で包括的な和平とパレスチナの自決権を含む2国家解決の実現に向け、国連の関与と国際社会の努力が強く求められています。

 ハマスによる無差別攻撃と人質の連行はどんな理由があっても許されない蛮行でした。一方で、イスラエルは圧倒的な軍事力でガザでのジェノサイド(集団殺害)をエスカレートさせてきました。パレスチナの保健当局によると、今月5日現在、死者は6万7139人にも上ります。

■米提案めぐり協議

 トランプ米大統領は9月29日に人質返還や停戦など20項目の計画を発表し、ハマスは人質全員の解放に同意する考えを示しています。これを受け、仲介国のエジプトが今月6日にイスラエルとハマスの代表団による協議を始めることを明らかにしました。

 イスラエル政府も、北部の都市ガザ市の制圧作戦を当面停止するよう軍に指示したと伝えられていました。しかし、ガザ地区の当局は4日、イスラエル軍がガザ市など人口密集地への空爆や砲撃を行い、女性や子どもを含む70人が死亡したと発表。ハマスは強く反発していると報じられています。

 国連人権理事会の独立調査委員会は9月16日、イスラエルによるガザ地区での行為をジェノサイドと認定する報告書を発表しています。

 報告書は、ガザの平均寿命が戦闘開始前の75・5歳から1年間で40・5歳に低下▽イスラエル軍は民間住宅地や難民キャンプ、病院などを繰り返し爆撃▽死者のうち少なくとも46%が女性と子どもで、83%が民間人▽不妊治療施設を攻撃し凍結精子・卵子を破壊し出生を妨げた―など数多くの事実を挙げています。イスラエルがガザへの人道援助の流入を阻止し、飢餓を戦争手段として利用したとも非難しています。

 国際司法裁判所(ICJ)も24年1月、ジェノサイドを防ぐためにあらゆる措置を取るようイスラエルに命じています。

 イスラエルによるジェノサイドによって犠牲者が増え続け、人道危機が深刻化する中、パレスチナを国家承認すべきだという国際社会の声が急速に高まっています。

■日本も責任果たせ

 パレスチナを国家として承認した国は現在、主要7カ国(G7)の英国、フランス、カナダをはじめ約160カ国に上り、国連加盟国の8割を占めます。米国の圧力で承認を見送っている日本政府も直ちに行うべきです。

 国連人権理事会の独立調査委員会は、すべての国家にジェノサイドを止める義務があり、義務を果たさない場合は共犯の可能性があると述べています。国際社会はイスラエルへの圧力をいっそう強める時です。


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