2025年10月6日(月)
きょうの潮流
NHK「クローズアップ現代」のキャスターを務めた国谷裕子さんが、放送メディアのあり方を独自の視点で語りました。そこにはジャーナリストとしての矜持(きょうじ)が強く▼先月30日放送の「武田砂鉄ラジオマガジン」で、「(マスメディアは)どうしてもわかりやすく伝える」と語った国谷さん。「(視聴者は)タイパ(時間に対し得られる効果)を意識して早く結論に達したいという空気」が▼その背景にあるのが国民のネット利用の増加です。6月発表の総務省調査では、「主なメディアの平均利用時間」は平日・休日ともにテレビ・新聞利用よりネット利用が最長との結果にも▼国谷さんは「自分が好んでいる情報、あるいは必要とされる情報」がおすすめとして表示されるからではと。「ファクト(事実)より感情・共感に寄りそうものに人々の意見が形成され対話が生まれにくくなっているのかな、と懸念しています」▼自民党総裁選で排外主義をあおった“シカ暴行”発言の高市早苗氏のことが、にわかに浮かびました。総務相時代に、番組内容に偏りがあると政権が認定すれば放送電波の停止を命令できると公言した人物です▼番組で国谷さんは、トランプ米大統領のメディア弾圧を例に「それに対して、やはり声をあげる時は声をあげる」と改めて決意を。放送法の「真実及び自律を保障」し「放送による表現の自由を確保すること」を担保に、放送の自由と国民の知る権利を守る構えがいよいよ不可欠に。メディアの姿勢も問われます。