2025年10月5日(日)
きょうの潮流
食べ物がなくて困っている人など大変な状況にある人たちは大変なままです―。こども食堂の草分け、近藤博子さんが本紙で語っていました▼善意に頼るばかりで貧困や格差の問題をほったらかしにする国に「もういいかげんにしろ」と。日本社会が抱える切実な問題に向き合わない政治の姿勢に危機感を覚え、こども食堂を名乗ることはやめたといいます▼最低賃金の改定発効日、東京では「くらしていける賃金を」と訴える姿がありました。この10月、食品の値上げは3千品目を超える見込みで、75歳以上のうち医療費の窓口負担が倍になる高齢者が310万人にも及びます▼物価高、低賃金、足りない年金、さらには社会保障の削減。列島中に悲鳴が上がるなか、権力争いにかまけていた自民党の総裁選が終わり、極右・排外色の濃い高市早苗氏が選ばれました▼なにしろ、幼い頃から両親に「教育勅語」をたたき込まれたという人物。安倍元首相に心酔し、改憲や軍事・日米同盟の強化、外国人政策の厳格化や「スパイ防止法」の制定を訴えます。労働者をいじめ福祉をずたずたにしたサッチャー英元首相を憧れの政治家に挙げたことも▼女性初の総裁とうたわれますが、多くの女性が求める選択的夫婦別姓には「伝統的な家族観」を持ち出し反対しています。「毎日」の世論調査で次の総裁にふさわしいのは、との質問に最多の答えは「わからない」でした。結局、総裁選を通じてあらわになったのは変わらない自民党の姿ではなかったか。