2025年10月2日(木)
きょうの潮流
正体を隠して相手をおとしめる投稿をくり返していた匿名のツイッター(現X)アカウント「Dappi」を思い起こしました。政権を批判する野党議員やメディアを闇にまぎれてデマや中傷で攻撃する、あの悪質さを▼自民党の総裁選に出ている小泉進次郎候補の陣営が、インターネット上で小泉氏を称賛するコメントを書き込むよう関係者らに要請していたことがわかりました。なかには他の候補を中傷する投稿も▼深刻なのは、指示を出していたのが広報担当の牧島かれん元デジタル相の事務所だったことです。同氏は党のネットメディア局長でもあり、やらせ投稿が国政選挙などでも行われていたのではないか、との疑惑が深まっています▼投稿には参考例も示してあったといいます。こうした工作行為が当たり前のようになっていたのか。牧島氏は広報責任者を辞任し、小泉氏は「責任は私にある」としていますが、それで済まされる問題ではないはずです▼個人ではなく企業が運営していたDappiは、自民党と大口の取引があり、社長は自民党幹部の親族でした。政権党と深い関係にある企業が市民の声であるかのように装い、野党を攻撃するデマを流す。こんなやり方がまかり通れば有権者の判断を誤らせ、民主主義の土台を掘り崩すことにもなります▼総裁選の論調も、あしきに流れていくばかり。誰になっても、国民が求めている政治とは、かけ離れていくでしょう。いよいよ末路をたどる、この党の姿が鮮明になっています。