2025年8月20日(水)
「停戦せず領土交換も」
ウクライナ・欧州首脳に 米大統領主張
【ワシントン=洞口昇幸】トランプ米大統領は18日、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧州首脳とホワイトハウスで会談し、ロシアによるウクライナ侵略について協議しました。トランプ氏は会談の合間にロシアのプーチン大統領と電話協議。「領土の交換」の可能性にも触れて「停戦は必要ない」とロシア寄りの姿勢を示しました。欧州諸国は停戦を求め、ロシアへの圧力強化を訴えました。
トランプ氏は同日、まずウクライナのゼレンスキー氏と会談。ロシアが15日の米ロ首脳会談でウクライナに要求したとされる一部領土の放棄や、ウクライナへの「安全の保証」について議論したとみられます。
トランプ氏は会談の冒頭、米国、ロシア、ウクライナの3者会談を開けば「戦争を終わらせる合理的な可能性がある」と強調しました。「停戦は必要ない」「戦っている間も和平合意を目指して取り組む」などと述べました。
ゼレンスキー氏は「3者会談の準備はできている」と応じる一方、「停戦が必要だ」と指摘。「領土の問題は私とプーチン氏の間のことだ」と述べました。
トランプ氏はさらに、英仏独伊、フィンランド、欧州連合(EU)首脳、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長も交えて会談しました。
トランプ氏は会談後、SNSでロシアとウクライナ両首脳の対面での会談の手配に着手したと発表。ドイツのメルツ首相は、トランプ氏とプーチン氏が電話協議で、ロシアとウクライナの首脳会談を2週間以内に開くことで合意したと明らかにしました。トランプ氏は、ロシアとウクライナの首脳会談後に自身を交えた3者会談を開催する意向を示しました。
トランプ氏は「現在の前線を踏まえた領土交換の可能性についても議論する必要がある」と発言。「安全の保証」について「欧州への支援」に言及しましたが、内容は明らかにせず、米軍派遣の可能性を否定しませんでした。
ゼレンスキー氏は3者会談への意欲を示し、「ウクライナとロシアは条件なしで会談を行うべきだ」と述べました。トランプ氏の姿勢についてドイツのメルツ首相は「欧州諸国は停戦を望んでいる。ロシアに圧力をかけよう」と主張し、フランスも同調しました。