2025年7月6日(日)
自公維国“医療破壊4人組”
参院選で審判を
自民党、公明党、日本維新の会の3党は「医療費4兆円削減」に合意し、「11万病床削減」やOTC類似薬の保険外しを推進しています。国民民主党の玉木雄一郎代表も2月15日のX(旧ツイッター)で、「医療制度改革の方向性もメニューにも賛成」と表明。「4兆円」を達成するには、後期高齢者の窓口負担の原則3割化も必要だなどと発信しています。自公維国の“医療破壊4人組”による国民の生活と権利への攻撃を許すかどうかが参院選で問われています。
自公維と国民民主党は、現役世代の負担を軽減し、経済・財政を立て直すため、「余剰」な医療を「適正化」すると言っています。
病床削減に怒り
しかし、日本病院会の調査では7割の病院が赤字で、各地の基幹病院が入院の制限や救急医療の廃止に踏み切らざるを得ない事態に陥るなか、「11万病床削減」は医療崩壊をさらに加速し、地域に不可欠の医療体制を危機に追いやるだけです。医療現場からは、「病院は国民の命を守る場。一度減らした病床は容易に回復できない」「医療体制の不足で多くの命が失われたコロナの教訓を忘れたのか」など怒りの声が上がっています。
OTC類似薬の保険外しについても、難病の当事者、患者団体、アレルギーやアトピー性皮膚炎の子を持つ親たちなどから、負担増を懸念する声が噴出しています。この間、維新議員が「処方薬を市販薬に代えれば、医師の処方料がかからなくなるので、負担が減る場合もある」などと説明していますが、この改悪の最大の狙いが患者を医者にかからせないためのものだと自ら告白するものです。風邪など「軽い病気」は受診させず、自己責任で治療せよというのです。
現役世代の負担を軽減するどころか、子どもから高齢者まですべての世代の命と健康を脅かし、暮らしの悪化をいっそう加速させる大改悪にほかなりません。
削減路線は破綻
自公政権はこの四半世紀、社会保障を経済・財政のじゃま者として扱い、「現役世代の負担軽減」も口実の一つとしながら、制度改悪を繰り返してきました。
しかし、社会保障は国民の権利であると同時に、経済の重要な部分を占めています。年金削減や医療・介護の負担増は家計の所得を減らし、将来不安を増大させ、消費や景気に大きなマイナスとなりました。社会保障の削減は雇用破壊と並んで、「失われた30年」を招く重大要因となってきました。
今年6月、最高裁は、自公政権が強行した生活保護削減を「違法」と断じる判決を下しています。社会保障費削減路線の延命・継続を許すのかどうかが、参院選の一大争点となっています。
手取り誇大宣伝
維新は「医療費4兆円削減」によって現役世代の社会保険料を減らし、「年間6万円手取りを上げる」と宣伝しています。
しかし、維新が示す「保険料1人当たり6万円」は、労使折半で事業主が負担している分も含んだ額です。仮に、労使が負担する健康保険料が6万円下げられても、それによる労働者の保険料の減額は3万円で、「手取り」が6万円増えるわけではありません。こんな“2倍水増し”の数字を連呼すること自体、有権者をだます誇大宣伝です。
維新が本気で現役世代の負担軽減をめざす気などないことは、大阪の維新府・市政が、国民健康保険料の連続値上げを主導し、全国ワーストレベルに引き上げてきたことからも明らかです。現在、大阪府内に住む月収13万円の非正規労働者(39歳以下)の国保料は年16・1万円、同じ収入の人が大阪府の協会けんぽに加入した場合の健康保険料(年7・9万円)の2倍以上となっています。
また、健康保険や厚生年金などの社会保険料は、料率が一律で負担の“頭打ち”があるため、一般の会社員が医療・年金をあわせて15%の保険料を負担する一方、年収1億円の大企業役員の保険料の実質負担率は2%にとどまるなど、高所得者の負担が軽減されている実態があります。ところが、維新はその不公平に一切ふれようとしません。
結局、維新のいう「社会保険料の軽減」は、医療改悪の実態を覆い隠す方便にすぎないのです。
“医療破壊4人組”に参院選で厳しい審判を下すことが必要です。
(党政策委員会・谷本諭)