2025年7月5日(土)
参院選 「自公少数」は国民多数の声
元副大臣「負ければ大混乱に」
本物の野党伸長望む声
![]() (写真)自公の議席過半数維持に焦点を当てる4日付の各紙 |
自民、公明の与党が参院でも過半数割れに追い込まれるかどうかが参院選の大きな争点に浮上しています。「朝日」「読売」「毎日」は4日付1面で「自公」の「過半数」維持が「焦点」だとそろって報じました。世論調査でも自公の過半数割れを望む声が5割を超えるなど、「自公少数」はいまや国民多数の声です。昨年の総選挙で自公政権が衆院で少数に追い込まれたもとで、参院でも少数に追い込めば、消費税減税が可能になるなど新しい政治への道が切り開かれます。
自民、公明の与党は3年前の参院選で当選した「非改選」議席が75あります。参院の定数は248で、125で過半数となります。参院で自公が過半数を維持するには、今回の選挙で50議席必要です。石破茂首相は日本記者クラブでの党首討論会(2日)で、参院選での目標について「非改選議席と合わせて自公で過半数だ。決して容易だとは思っていない」と強調。激戦が予想される兵庫を第一声の場所に選び、同じ選挙区の公明候補の応援にも入るなど過半数維持への強い執念を示しました。
強い危機感
自民党の強い危機感は各地でも表れています。福岡では鬼木誠・元防衛副大臣が「事実上の政権選択選挙だ。負ければ政権が代わる。消費税には手をつけない自民党は悪者にされている。政権交代の時とよく似ている。そうなれば大混乱が起きる」と危機感むき出しの脅しをかけて陣営の引き締めをはかりました。
自民党国会議員の一人は「歩いていても、支持者の自民党離れをひしひし感じる。総選挙で離れた票がどれだけ戻るかといわれるが、戻るどころか自民離れに拍車がかかっている」と危機感をあらわに。「給付金そのものへの批判もある。同時に、政権の政策が力なく右往左往する姿に失望感が広がっている」と語ります。
公示直前の世論調査(6月28、29両日実施、共同通信)でも、参院選の結果、与党が「過半数割れした方がよい」が5割を超え、望ましい政権の枠組みとして「自民、公明による政権」は17・1%にとどまりました。
日本共産党の田村智子委員長の第一声(3日)を聞いていた男性(44)は「この何十年、日本がよくなっている気がしない。賃金が上がっていない。自民党と公明党でない全く違う枠組みに変えなければならない」と語りました。
大きな塊を
市民連合の小原隆治早大教授は「自民党右派と比べても極右としかいいようのない参政党などが排外主義を競いあっており、自公政治を転換できる本物の野党がどれほど議席を伸ばせるか、大きな塊をつくれるかが問われている」と指摘します。
日本維新の会や国民民主党が自民、公明などとともに医療費の削減や一部処方薬の保険外しなどの社会保障削減を狙っています。維新や国民民主が伸びても自公政治は変わりません。
小原教授は「本物の野党が協力し、選択的夫婦別姓の実現など、これまでの自公政権ではまったく目のなかった大きな政策転換を進め、次の総選挙での政権交代に向かって進むことが期待される」と述べました。