2025年7月4日(金)
主張
文科省入学金通知
若者の声届けて政治動かした
「入学しなかった大学への入学金支払い、平均で26万円を超す。異常で、理不尽ですよ」。先の国会で日本共産党の吉良よし子参院議員は、この問題の解決を求める若者たちの声を突きつけ、入学金の二重払いの解消と入学金廃止を求めました。(3月14日、予算委員会)
■吉良氏質問の成果
文科省は6月26日、二重払いが学生や保護者の負担になっていると国会などで「度々、指摘されている」として、私立大学に対し、入学しない学生の入学金の負担軽減に努めるよう求める通知を出しました。二重払いに焦点を当てた通知は初です。若者の粘り強い運動と、その声を国会に届けた吉良議員らの成果です。
入学金は先進国で日本にしかありません。しかも、第1志望の合否判明前に、先に合格した大学の納付期限がくるため担保として支払い、入学しなくても返還されない―。
改善を求める若者有志の「入学金調査プロジェクト」の調査では、国公立大学入試(前期日程)の合格発表前に入学金の納付期限がくる私立大学は東京の全私大の68%でした(2021年)。国公立が第1志望で、家庭の経済状況で浪人できない受験生は、二重払いを避けようとすればそれらの大学を選択できません。24年の調査では学生の27%が二重払いをし、9割が問題だとしました。
同プロジェクトは6月20日、二重払いをなくすよう求める要望書を21年に続いて文科副大臣に提出、今回の通知に実りました。納付期限を3月末までに延ばす、入学を辞退した学生には返還すると明確にする、などが必要です。
吉良議員は3月の質問で、国立大で28万円を超す入学金は入学式、事務費、学生証発行、健康診断に充てるというが高すぎると追及しました。阿部俊子文科相は「適切に設定されている」「一概に高いとは言えない」と答えました。同プロジェクトは要望書でその答弁にふれ、金額の根拠が不透明だとし、金額を含め制度の検証を求めています。
■教育予算抜本増を
今回の通知は運動の成果です。ただ、あくまで各大学に努力を求めるものです。
文科省は通知で、入学金が私大の収入を支えていると認めています。ならば大学任せでなく、入学金に頼らずにすむよう私学助成など教育予算の抜本的増額が不可欠です。
私学振興助成法は経常費の半分まで補助できるとし、参院付帯決議は2分の1の速やかな達成を求めましたが、長く1割に抑えられています。
政府は12年に国際人権規約の高等教育無償化条項の留保を撤回しました。政府は無償化にすすむ義務がありますが、完全に逆行しています。
日本の公教育費のGDP(国内総生産)比は経済協力開発機構(OECD)諸国でワースト2です。教育費負担が自己責任にされています。
憲法は教育の機会均等を定めています。家庭の経済状況にかかわらず、受験の機会、学ぶ機会を保障するのが政治の責任です。自公政権の大軍拡で軍事費が突出し、いまや教育費の2倍を超えます。参院選で自公を少数にし、こんな政治を変えましょう。