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2025年7月2日(水)

博士課程留学生への生活費支援見直し 文科省方針

国籍差別許さない

学生・教職員が抗議

 博士課程に進学する学生に返済不要で生活費を支援する国の制度について、文部科学省が対象を日本人に限定し、留学生は支援しない方針を固めました。この方針に学生や院生、教職員から批判があがっています。


写真

(写真)学生たちが呼びかけたネット署名のページ

 文科省は博士課程に進学する学生の経済的な不安を解消するため、4年前の2021年から「次世代研究者挑戦的研究プログラム」(通称「SPRING」)を実施しています。研究費や生活費など1人あたり年間最大290万円を支援しています。受給者は採択した大学が決めます。国籍要件はありません。

 ところが今年3月になって突然、自民党の有村治子参院議員などが「日本の学生を支援する原則を明確に打ち出」すよう国会で見直しを求めました。文科省は26日、支援額のうち、年間最大240万円支給される生活費(研究奨励費)について、支援対象を日本人に限定し留学生への支援は行わない方針を入れた見直し案を有識者会議に示しました。

大学労組が声明

 この報道を受けて新潟大学職員組合中央執行委員会は「国籍差別的見直しに断固反対します」との声明を出しました。問題点として「国籍を理由とした明白な差別」であること、「地方公立大学にとって優秀な留学生は教育研究活動を維持するための生命線であり、魅力的な支援策が失われれば博士課程の定員充足がさらに困難になり、研究の縮小や閉鎖につながる危険性がある」など6項目をあげています。

研究行う“命綱”

 全国から学費値上げ反対の声を上げる学生有志はネット署名「博士課程の学生を国境で差別しないでください! SPRING制度『日本人限定』見直し方針に反対します」を開始しました。東京大学教養学部4年の金澤伶さんは「博士課程の学生はそもそも雇用の見通しも立てられず、学費も値上げが検討されるなか、研究と生活の両立に苦しんでいる。博士課程への生活費支援は“命綱”」だと言います。「とりわけ外国からの留学生は日本との学術をつなげる重要な存在」で、「優れた研究を行う人が国籍によって排除されるべきではない」と署名に賛同してほしいと呼びかけています。

 「博士課程院生に対する経済支援制度JST‐SPRINGに国籍要件を設けることに反対している大学院生を中心とする有志」は、2日午後6時30分から、東京都豊島区の池袋駅西口でアクションをおこないます。25日には文科省前でも予定しています。


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