2025年7月2日(水)
海外先住民の遺骨返還
「行政文書はない」
紙議員質問主意書に政府答弁書
石破内閣は6月27日、日本共産党の紙智子参院議員が提出した「海外先住民の遺骨返還に関する質問主意書」に対する答弁書を決定しました。海外先住民の遺骨返還手続きを定めた行政文書はあるかとただしたのに対し、「ガイドライン(行政文書)はない」と答弁しました。
日本の先住民・アイヌ民族の遺骨返還には、手続きを定めた行政文書「大学が保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続きに関するガイドライン」があります。それによって返還の申請を求め、その要件も定めており、海外先住民の遺骨返還を巡る差別的な実態が明らかになりました。
「毎日」(同12日付)は、東大と京大、国立科学博物館が11日、学術研究の目的で収集・保管してきたオーストラリア先住民の遺骨を豪側に返還し、昨年11月には東大が米ハワイの先住民遺骨を返還していたことも新たに判明したと報じました。豪政府は今年6月12日、日本の研究機関が保管していた豪先住民の遺骨10体が先住民と豪政府に返還されたと発表しました。
また答弁書で、海外に持ち出されたアイヌ民族の遺骨の数も政府は把握していないことも明らかになりました。
日本の大学は明治期以降、研究目的で盗掘までしてアイヌの墓から遺骨を収集しましたが、多くの大学はいまだ謝罪もせず、遺骨返還の責任さえ果たしていません。