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2025年6月30日(月)

主張

軍事費GDP比5%

常軌逸した大軍拡を拒否せよ

 トランプ米政権内から日本の軍事費を国内総生産(GDP)の3・5%さらには5%にすべきだという要求が出ています。2024年のGDPの3・5%は約21兆円、5%は約30兆円にも上ります。日本の軍事費は自公政権の大軍拡計画によって急増し、25年度は8・7兆円(米軍再編経費など含む)に達します。それをはるかに上回る常軌を逸した大軍拡要求です。

■米国が圧力強める

 米国防総省のコルビー次官は3月の米議会証言で日本の軍事費をGDPの3%にするよう要求しました。英紙フィナンシャル・タイムズは同次官が今月、日本政府に対し、さらに3・5%にするよう求めたと報じました。

 GDP比5%の要求は今月、米国防総省のパーネル報道官が複数の日本メディアに明らかにしました。同報道官は「(日本を含む)アジア太平洋地域の同盟国がヨーロッパの(GDP比5%という)水準に迅速に追いつくべきなのは当然だ」と述べました。

 石破茂首相は、こうした米側の要求について「最初からGDP比いくらありきではない」「必要なものをわが国の判断として積み上げていく」(23日)と述べています。

 しかし、自公政権が22年に閣議決定した大軍拡計画である安保3文書は、軍事費とその関係経費を合わせ27年度にGDPの2%にすることを決めています。当時の岸田文雄首相も必要なものを積み上げた結果だと説明しましたが、それは米国の要求に応じNATO(北大西洋条約機構)が軍事費のGDP比2%という目標を持っていたのを受けたものでした。

 石破氏は2月のトランプ大統領との会談で「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」と、GDP比2%を達成した後も大軍拡を継続することを約束しています。

 NATOは25日、軍事費をGDP比5%に引き上げる新たな目標を決めました。これを受け、レビット米大統領報道官は早速、「NATOの同盟国にできるなら、アジア太平洋地域の同盟国、友好国にもできるはずだ」と述べています(26日)。トランプ政権が今後、増額圧力をいっそう強めてくるのは必至です。

■米言いなりやめよ

 トランプ政権による日本への軍事費増額圧力と日米関税協議との「ディール」(取引)の問題も見過ごせません。

 第1期トランプ政権時の18年、当時の安倍晋三首相は最新鋭の米国製戦闘機F35の105機追加購入(約2・5兆円)を決めました。大統領が脅しをかけていた日本車への関税引き上げを回避するためとされます。その結果、19年の日米貿易協定では、日本車に追加関税を課さないことが合意されました。

 しかし、トランプ政権は今年4月、この合意に反して日本車への追加関税を発動し、一方で途方もない軍事費増を迫っています。あまりにも理不尽です。

 軍事対軍事の対抗が戦火を拡大し平和を脅かすことは、今の国際情勢からも明らかです。日本は米国言いなりを続け、さらなる大軍拡に突き進んでいいのか。目前に迫った参院選の大争点の一つです。


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