2025年6月24日(火)
主張
米国のイラン攻撃
政府は米の属国的態度やめよ
石破茂政権の態度はあまりにも情けないものです。
米国のトランプ政権は21日(日本時間22日)、イランの核施設3カ所に空爆を行いました。これに対し石破首相は同日の記者会見で「事態を早期に沈静化することがまずは何よりも重要」「イランの核兵器開発は阻止されなければならない」と述べるだけで、米国の攻撃を批判することは一切ありませんでした。
しかも、23日には岩屋毅外相が「米国によるイラン核施設に対する攻撃」についての談話を発表し、「イランの核兵器保有を阻止するという決意を示したもの」と擁護しました。
■甚だしい国連無視
しかし、米国のイラン攻撃は、国連憲章と国際法を蹂躙(じゅうりん)し国際秩序を根底から覆す、無法極まりない暴挙です。
国連憲章は紛争解決の手段として武力の行使を禁止し、その例外を▽加盟国への武力攻撃が発生した場合▽安全保障理事会が認めた場合―に限っています。今回の攻撃はどちらにも該当しない明白な国連憲章違反の武力行使です。
トランプ政権の姿勢は、2003年にブッシュ米政権がイラクに対して行った先制攻撃の戦争と比べても国連無視が甚だしいものです。
ブッシュ政権は当時、イラクが大量破壊兵器を保有しているとして国連安保理に証拠なるもの(後に誤情報だったことが判明)を示し、武力行使容認の決議を求めました。
しかし、多数の国が反対したため、武力行使の根拠にはなり得ない過去の安保理決議を勝手にねじ曲げて解釈し、それを口実に攻撃に乗り出しました。ここには、少なくとも国連の承認を何とか得ようとする姿勢はありました。
しかし、トランプ政権にそうした姿勢は皆無です。しかも、トランプ氏は自ら指名した国家情報長官が3月に「イランは核兵器を製造していない」と議会証言したことも「どうでもいい」などと切り捨て、核開発の具体的な証拠をまったく示していません。
加えて、核施設への攻撃は、ジュネーブ条約など国際法に違反するもので、炉心溶融や広範な地域への放射能汚染が強く危惧されています。被爆国・日本として看過できない重大な問題です。
■無法の即時中止を
石破政権はイスラエルがイランに先制攻撃を加えた際、「核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは到底許容できず、極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難する」との外相談話を発表していました(13日)。
ところが、石破首相を含めた主要7カ国(G7)首脳の声明(16日)はトランプ大統領の意向をくんで、イスラエルの「自国を守る権利」を認め、「(同国の)安全に対する支持」を表明しました。
日本政府は戦後、米国が行ってきた数々の国連憲章・国際法違反の武力行使に一度も反対したことがありません。今回もこれまで同様、米国の攻撃を擁護する態度を示しました。
石破政権はこうした独立国にあるまじき態度を改め、イスラエルと米国に攻撃の中止を強く求めるべきです。