2025年6月24日(火)
イラン空爆「国連憲章に違反」
安保理会合 各国が米国批判
【ワシントン=洞口昇幸】国連安全保障理事会は22日、米国によるイランの核施設空爆を受けて緊急の公開会合を開きました。米国は「国連憲章にのっとった集団的自衛権の行使だ」などと正当化しました。一方、各国からは、すべての当事国へ自制を求める声とともに、米国による空爆は紛争の平和的解決や武力行使の禁止を定めた国連憲章違反だと批判する声が上がりました。
冒頭に発言したグテレス国連事務総長は「私たちはいま報復に次ぐ報復という泥沼に陥る危険がある」「米国による空爆はすでに動揺している地域での危険な転換点となった」と指摘。報復の連鎖を避けるには「外交が勝たねばならない」と語り、イラン核問題を巡る外交交渉の再開、国連憲章や国際法の順守を訴えました。
アフリカ北東部の国ソマリアは、イランの核施設への攻撃について「国連加盟国の主権、領土保全を侵害するいかなる侵略行為も非難する。こうした行為は武力の行使や威嚇を禁止した国連憲章に明らかに違反している」と強調しました。
アフリカ西部の国シエラレオネの代表は、米国による空爆は「国連安保理の承認の下で行われたものではないし、(米国への)差し迫った攻撃に対する自衛権の明白な発動というものでもない」と批判。「国連憲章を無視すれば別のところでも一方的な行動を助長してしまう」と懸念を表明しました。
アルジェリアは「国際社会が団結して緊張緩和を追求していたときに、米国による対イラン攻撃で状況はさらに悪化した」と批判。国際法の順守は全加盟国にとって法的拘束力のある義務だと強調しました。また「中東地域のつらい歴史から教訓を引き出さねばならない。軍事的解決は決して成功しないという教訓だ」と訴えました。
「武力行使は紛争を悪化」
22日の国連安保理でパキスタンは「歴史が教えていることは、武力行使や一方的な行動は紛争を悪化させるだけだということだ」と指摘。中国、ロシアとともに、即時停戦を求める決議案を提出したことを明らかにしました。
ロシアのネベンジャ大使は、2003年に当時のパウエル米国務長官が安保理でイラクが大量破壊兵器を持っていると誤った報告をした過去に触れて米国を批判しました。
イランのイラバニ大使は「米国は外交を破壊した。国際法の明白かつ甚だしい違反だ」と空爆を批判。「イランの適切な対応のタイミング、性質、規模は軍によって決定される」と語りました。
米国のシェイ国連臨時代理大使は、イランが米軍などを攻撃すれば「壊滅的な報復が待っている」と強硬姿勢を示しました。イスラエルのダノン大使は米国に謝意を表明しました。