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2025年6月23日(月)

主張

沖縄戦から80年

再び「捨て石」にさせない決意

 沖縄はきょう23日、「慰霊の日」を迎えます。1945年の沖縄戦で命を失った20万人を超える犠牲者らを追悼する日です。沖縄戦最後の激戦地だった本島南部にある平和祈念公園(糸満市摩文仁=まぶに=)では、県などが主催する「戦後80年沖縄全戦没者追悼式」が開かれます。

 今、沖縄を含む南西諸島では、中国を念頭に、ミサイルの配備など自衛隊や米軍の態勢強化、戦争の準備が進んでいます。同時に、沖縄戦をたたかった日本軍やその司令官を美化する動きが強まっています。沖縄戦から何を学び、どんな教訓を未来に生かしていくのかが問われています。

■国土防衛の「前縁」

 沖縄で地上戦が始まるおよそ2カ月前の45年1月20日、陸海軍の最高統帥機関である大本営は、「帝国陸海軍作戦計画大綱」を昭和天皇に上奏し裁可されます。

 同大綱は作戦の目的を「皇土(天皇の国土)特に帝国本土を確保する」こととし「沖縄本島以南の南西諸島」などを「皇土防衛のため縦深作戦遂行上の前縁」と位置付けます。その上で、これら「前縁地帯の一部に…敵の上陸を見る場合においても極力敵の出血消耗を図りかつ敵航空基盤造成を妨害す」としました。

 沖縄は「本土」とされず「皇土防衛」のための「前縁」(前方の縁=ふち=)とされ、できるだけ敵の戦力を消耗させることが任務とされました。「国体(天皇制)護持」を至上命令に時間稼ぎのための「捨て石」にされたのです。

 その結果、沖縄の第32軍は司令部を置いていた首里の陥落を前にしても持久戦継続を決め、すでに多数の住民が避難している南部に撤退しました。そのことが南部一帯を軍民混在の戦場にし、住民の犠牲を増大させました。

■軍隊は住民守らず

 沖縄戦での住民の犠牲は「主として米軍の近代殺戮(さつりく)兵器による非戦闘員たる住民への非人道のきわみである無差別砲爆撃によるものであったが、日本軍によっても直接間接的に被害をうけた結果」(『沖縄県史 各論編6沖縄戦』)でした。

 日本軍によってスパイ視・非国民視された住民や壕(ごう)内で泣きやまない乳幼児が虐殺される、壕からの追い出しや食料の強奪で死に至る、捕虜になることが許されず「集団自決」(集団強制死)を強要されるなど、数えきれない悲劇が生まれました。沖縄戦最大の教訓は「軍隊は住民を守らない」とされるゆえんです。

 今、こうした犠牲を顧みず、沖縄戦の歴史を歪曲(わいきょく)する動きが次々明るみに出ています。陸上自衛隊の幹部候補生学校が第32軍を「本土決戦準備のために偉大な貢献をなした」と肯定する学習資料を作成(琉球新報が報道)、陸自第15旅団(那覇市)が牛島満32軍司令官の辞世の句をホームページに掲載、「ひめゆりの塔」の展示内容を「歴史の書き換え」とした西田昌司自民党参院議員の暴言などです。

 沖縄戦の悲劇を再び繰り返さないため、歴史修正主義の動きを許してはなりません。沖縄など南西諸島で進む軍事態勢の強化、戦争の準備を阻止する運動と世論を大きくしていくことが必要です。


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