2025年6月23日(月)
きょうの潮流
この紛争の拡大は、誰も制御できない炎になりかねない―。国連のグテレス事務総長が危機感を表し、外交による平和的な解決を呼びかけた直後でした。それをあざ笑うかのように▼米国のトランプ大統領がイランの三つの核施設を空爆したと明らかにしました。核の脅威を阻止することが目的だといいますが、攻撃を仕掛けておきながら和平を迫る横暴ぶり。さらなる攻撃も示唆しています▼「歴史を変える行動だ」。イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ大統領に感謝し、「私とトランプ大統領は、力こそ平和をもたらすと言ってきた。力があり、その次に平和だ。今夜、米国はその大きな力で示した」とたたえました▼核施設への攻撃がどれほど危険か。イランは汚染の兆候はないと伝えていますが、被害が広がれば周辺の住民をはじめ国境をこえた地域にも深刻な影響を及ぼします。その責任はいったい誰が▼ロシアといい、イスラエルといい、核施設への攻撃がまかり通る今、被爆国の日本政府がその恐ろしさを訴え、先頭に立って反対の声をあげるときではないのか。敵対や憎悪をまき散らす米国に付き従うばかりでは自国民の安全をも危うくするだけです▼「私が何をするかは誰にも分からない」というトランプ大統領。「権力はそれ自身の論理を持っている」とネタニヤフ首相。わが物顔で他国や他民族を攻撃し地獄の門を開けようとする無法者たち。その身勝手なふるまいを止めるのは平和を望む国際世論と無数の市民の力です。