2025年6月23日(月)
米、イラン核施設空爆
国連総長「世界にリスク」
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【ワシントン=柴田菜央、カイロ=米沢博史】トランプ米大統領は21日、米軍がイラン領内の核施設3カ所を空爆したと発表しました。イラン原子力庁は、核施設3カ所が「敵の攻撃を受けた」と表明しました。
イスラエルが13日にイランを先制攻撃し、両国が交戦してきた事態は、新たな局面に入りました。
トランプ氏は攻撃後にホワイトハウスで演説。「攻撃は素晴らしい成功をおさめ」「(核施設は)完全に破壊された」と強調。イランが和平に応じないなら、「今後、攻撃はいっそう大きくなる」と脅しました。トランプ氏はSNSで、米国が報復攻撃を受ければ「強力な力で迎え撃つ」と述べました。
イランのアラグチ外相は米国の攻撃について「国連憲章と国際法に違反する」と批判し、「主権と安全を守るすべての選択肢を排除しない」と記者会見で表明。イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ氏の「大胆な決断」を称賛しました。
国連のグテレス事務総長は「この紛争が急速に制御不能に陥り、民間人、地域、世界に壊滅的な結果をもたらすリスクが高まっている」と表明しました。
米軍の攻撃対象は、フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの核施設。米メディアによれば、地中80メートルにあるフォルドゥには地下貫通型爆弾バンカーバスター6発、他の施設には巡航ミサイル・トマホーク計30発を撃ち込みました。
国際原子力機関(IAEA)は米国の攻撃後、3カ所の施設外の放射線レベルの上昇は報告されていないと発表しました。
米メディアによると、米国は攻撃前に、イランに対し外交的に接触し、体制転換を狙ったものではないと伝えていました。
イランの核開発をめぐっては2015年、米国(オバマ政権)とイランが合意し、米国は制裁を解除、イランが核開発を制限しました。しかし、トランプ氏が1期目の18年に合意から離脱し、制裁を再開。イランはウラン濃縮を進めていました。