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2025年6月22日(日)

主張

日韓国交正常化60年

植民地支配への反省こそ必要

 1965年6月22日に日本と韓国が国交を正常化する日韓基本条約に署名してから60年です。第2次世界大戦終結80年でもある節目の年に、日韓両国と両国民が心通う友好と協力の関係を築いていくため、日本が過去の侵略戦争と植民地支配にどう向き合うかが問われています。

■三つの重要な文書

 日韓基本条約には締結当時、両国民の強い反対がありました。▽1910年の「韓国併合条約」を「もはや無効」とするだけで、日本による植民地支配への反省や賠償に触れていない▽韓国を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」と規定している―などの問題があったためです。日本共産党も反対しました。

 しかし、80年代後半から両国関係には大きな変化が生まれます。韓国では軍事政権が倒され、民主化が進展します。91年には北朝鮮とともに国連への同時加盟が実現。韓国が朝鮮半島の「唯一の合法政府」という日韓基本条約の規定は事実上否定されます。

 90年代には、韓国の元日本軍「慰安婦」の被害者が名乗り出るなど、日本の過去の侵略戦争と植民地支配への反省と責任を問う動きが両国で強まります。

 そうした中で、日本では歴史問題をめぐる三つの重要な文書が発表されます。

 ▽「慰安婦」問題で軍の関与と強制性を認めた「河野(洋平)官房長官談話」(93年)▽日本が「国策を誤り」「植民地支配と侵略」を行ったとする「村山(富市)首相談話」(95年)▽小渕恵三首相と韓国の金大中大統領が署名し「(小渕氏が)韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ…痛切な反省と心からのお詫(わ)びを述べた」と明記した「日韓共同宣言」(98年)―です。こうして日韓関係は大局的には大きく発展してきました。

■「安倍談話」の害悪

 しかし、戦後70年の2015年に出された「安倍(晋三)首相談話」は、これに逆流をもたらしました。この談話は、韓国の植民地化を進めた日露戦争を美化し、「村山談話」が明らかにした歴史認識も全く示されませんでした。狙いは、前出の三つの重要文書の事実上の棚上げでした。

 これは「慰安婦」問題でも、「徴用工」問題でも解決の重大な障害になっています。

 「慰安婦」問題では、15年の日韓外相会談で被害者支援の財団設立による「不可逆的な解決」が合意され、幕引きが図られようとします。しかし、これには韓国社会全体から批判が沸き起こり、今も解決に至っていません。根本には、過去の誤りへの反省を自分の言葉として語らない日本政府の姿勢があります。

 「徴用工」問題でも、日本政府は、植民地支配と結び付いた重大な人権侵害と捉えようとしません。「慰安婦」問題同様、日韓基本条約と同時に結ばれた請求権協定をたてに賠償を拒み、“解決済みの問題を蒸し返す韓国”という悪印象を広げてきました。

 日本政府には、こうした姿勢を根底から改め、全ての被害者の名誉と尊厳が回復されるよう政治の責任を果たすことが求められています。


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