2025年6月21日(土)
日本共産党国会議員団総会
田村委員長のあいさつ
日本共産党の田村智子委員長が20日の党国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。
![]() (写真)あいさつする田村智子委員長=20日、衆院第1議員会館 |
議員団、そして事務局のみなさんの連日の奮闘に心から敬意を表します。
この通常国会では、物価高騰、米問題、トランプ大統領のもとで日米関係をどうするのかなど、内外の重要課題にどう対応するのかが問われました。
石破茂首相と自公政権は、こうした問題に対して、何一つ打開の策を示すことができない、末期的で危機的な状況にあることが明らかとなっています。対照的に、わが党の論戦が、暮らしの危機打開の方向を鮮やかに示すとともに、大局的な改革の方向、希望ある日本社会を示すものとなりました。
消費税減税で圧倒的に論戦をリード
3点に絞って述べたいと思います。
一つは、物価高騰対策です。自公政権は、無為無策の批判に対して、またも2万円の現金給付の方針を打ち出しました。4月にあまりにも不評で断念したものを、選挙直前に打ち出すしかなかった。打つべき策がない、まさにどん詰まりの状況です。税金を使った選挙買収だと批判の声が起こるのも当然です。
わが党は「消費税廃止を目指し、緊急に5%に減税する、インボイスを廃止する」ことを一貫して求めてきました。どの世論調査でも現金給付ではなく、消費税減税を求める声が多数をしめており、これが最も有効な物価高騰対策であることは明らかです。
今国会での論戦では、年収別の消費税負担割合という新たな資料を示し、中間所得層まで最も重い税負担が消費税であること、また消費税5%への引き下げは平均的な世帯で12万円の減税になることを明らかにしました。焦点となる財源について、大企業には十分な担税力があることを示す論戦も展開しました。政府与党が、消費税減税を否定する根拠は、わが党の論戦によって今や総崩れとなっています。
さらに、財源を赤字国債に求める主張に対しても、金利上昇による影響、巨額の利払いが暮らしの予算を圧迫する、インフレを引き起こす危険性、大企業・富裕層への減税と税優遇を温存するという四つの問題を明らかにしました。
責任ある財源提案、税制のゆがみをただして消費税減税をという、わが党の政策は圧倒的な説得力を持っています。消費税そのものに一貫して反対を貫いてきた党として、参院選挙で、日本共産党とともに消費税減税を求める圧倒的な世論を巻き起こしていこうではありませんか。
米問題をもたらした自民党農政の転換を
二つ目に、米の価格高騰の問題です。今、小泉進次郎農水相を「改革の旗手」のようにメディアが取り上げていますが、安い備蓄米を一部のお店で一部の人が買えるようにしても、問題の解決にはなりません。
なぜこういう事態になったのか。長年の自民党農政にこそ責任があります。減反・減産の押し付け、民主党政権が創設した所得補償制度を廃止し、農家の所得を奪い、米農家の激減をもたらした。そして、ミニマムアクセス米として年間77万トンの輸入を続けた―これらの失政が、「米作って飯食えねえ」と怨嗟(えんさ)の声が広がるほどに、主食の米づくりを衰退させてしまいました。しかし、小泉農水相にこの反省がかけらもありません。
紙智子参院議員が、最後の本会議討論で自らの24年間の議員活動が日本の農業を衰退させた自民党農政とのたたかいだったと述べましたが、その通りです。
米増産と安定供給に政治の責任を果たす。そのために農家への所得補償と価格保障で農業の再生を図る、農作物の輸入自由化路線をやめ食料自給率向上を緊急の政策とする―日本の農業と国民の食料を守るために全力をあげようではありませんか。
日米同盟絶対の大軍拡に反対する唯一無二の役割
三つ目に、イスラエルによるイランへの先制攻撃によって両国が交戦状態になっている問題です。イスラエルはガザでのジェノサイド、ヨルダン川西岸での土地や家の強奪を含め、無法に無法を重ねています。その根本には、トランプ政権がネタニヤフ政権を軍事的政治的に支援し続けているという問題があります。
いま、トランプ政権は米国によるイラン攻撃を検討していると報じられていますが、攻撃が強行されれば、国連憲章と国際法に違反することは明らかであり、中東地域と世界の平和と安定に深刻な打撃を与えることになります。わが党は、米国に対しイラン攻撃の検討をただちに中止することを求める志位和夫議長の談話を発表し、国連、米国、イスラエル、イラン、パレスチナ自治政府に送付しました。国際社会が戦争拡大を防ぐために連帯することを心から呼び掛けるものです。
日本政府がこのもとでどう対応するかが問われています。政府は、イスラエルのイラン攻撃に対して、13日の岩屋毅外相の談話で、「到底許容できず、極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難」すると表明しました。ならばイスラエルに対してはもちろん、米国に対して、イランへの攻撃をやめよ、国際法を順守せよとただちに求めるべきです。
いま、トランプ米大統領のもとで、こんなアメリカ言いなりでよいのか、日米同盟絶対で大軍拡を進めてよいのかが鋭く問われています。今国会では2月の日米首脳会談で、2027年以降も「抜本的な防衛力の強化」を合意したことを厳しく批判するなど、アメリカ言いなりの大軍拡に対して正面から反対する論戦を展開したのが日本共産党であり、唯一無二ともいえる役割を発揮したことを強調したいと思います。
軍事対軍事の悪循環ではなく、憲法9条を生かした平和外交で、戦争の心配のない東アジアをつくるという日本共産党の「東アジア平和提言」こそ、現実的な安全保障の道です。このことは、4月末、日中友好議員連盟の訪中の場でも示されました。訪中団の一員として志位和夫議長が中国との会談の場で「互いに脅威とならない」という日中首脳会談の合意に基づく行動を双方が取るべきだと意見を述べ、中国の代表が「日本共産党の提案を重視している」と述べたことは大変重要です。言うべきことはきっぱり言い、同時に両国の関係を前向きに打開する―この立場で、東アジアの平和と安定のために努力している党が他にあるでしょうか。このことも強調したいと思います。
都議選・参院選で共産党の役割・値打ちを知らせよう
三つに絞って述べましたが、そのほか、日本学術会議の解体を狙う法案に対して、学者研究者のみなさんが何日間も国会前に座り込んで、学術研究への介入を許すなと抗議の声をあげ、わが党が熱く連帯して、最後まで廃案を求めて闘い抜いたことを銘記したいと思います。また、高額療養費の患者負担増を中止に追い込んだ論戦、自公と補完勢力によって医療費削減が叫ばれるもと、11万病床削減、OTC類似薬の保険はずしが国民に激烈な痛みをもたらし、医療の危機に拍車をかけると告発したことも、今後に生きる重要な論戦となりました。
日本共産党のかけがえのない役割、議席の値打ちを、国民の皆さんに広く知らせて、最終盤を迎えている都議選、そして目前の参院選挙で、必ず日本共産党の躍進を勝ち取ろうではありませんか。
党躍進を果たして与党と補完勢力に厳しい審判を
最後に、昨日、立憲民主党の野田佳彦代表と私との会談を行い、参院選挙での選挙協力を確認したことを報告します。
この会談は、立民・野田代表からの求めによって行われたものです。野田代表からは「参院で与党の議席を減らし、少数に追い込むために連携して力を合わせていきたい」として、選挙協力の要請がありました。私からは「日本共産党は参議院選挙で、自民・公明ととともに、その補完勢力に厳しい審判を下すという立場を堅持して闘う」と表明したうえで、同時に「与党を少数に追い込むという大きな一致点で、連携し力を合わせたい」と表明して、参院選挙での連携を合意しました。
このなかで私は、総選挙で与党過半数割れに追い込んだことは、高額療養費の負担増を中止させ、企業・団体献金全面禁止法案の初めての委員会審議、また選択的夫婦別姓の法案の28年ぶりの委員会審議など、国民の要求実現へと政治を動かす大きな意義を持ったことを強調し、「参院でも与党を少数に追い込むことが重要だ」と述べ、野田代表からも「衆院での与党過半数割れで大きな成果があがりつつあり、参院でも同じ状況をつくる」との表明がありました。
政策の一致点について、野田代表は、市民連合の政策要望を重く受け止めており、これが連携の基礎となると述べました。私も同じ立場だと表明した上で、その中でも「市民生活を脅かす大軍拡に反対する」「消費税減税とインボイス廃止」「企業・団体献金の禁止」の3点は重要な政策として確認したいと提起し、野田代表も重要な政策と考えていると答えました。また、安保法制についてはどうかとの私の問いに「安保法制の違憲部分の廃止」が立憲民主党の公約であると、野田代表は明言しました。
全体として、昨日の会談での合意は、市民と野党の共闘を再構築していくうえで重要な一歩となるものでした。今後は、確認した政治的合意を互いに順守していくとともに、対等平等、相互尊重の立場で選挙協力の協議を進めていきます。
いよいよ参院選挙です。日本共産党の躍進を果たしてこそ、与党とその補完勢力に厳しい審判をくだすことができます。比例で650万・10%以上、この目標を私たち一人ひとりが果たすべき任務として、比例5議席への躍進、選挙区で東京・吉良よし子さん、埼玉・伊藤岳さん、京都・倉林明子さんの議席の絶対確保、さらなる前進へ。ともに力を合わせて闘い抜きましょう。私も先頭に立って奮闘する決意を述べて、議員団総会でのあいさつとします。ともにがんばりましょう。