しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年6月19日(木)

主張

自公2万円給付案

一時しのぎやめ消費税減税を

 「物価高対策」と銘打ったのにすこぶる評判が悪く、世論調査では「反対」「評価しない」が6割以上にのぼり、「選挙前のばらまき」と痛烈な批判が沸き起こる―。石破茂首相(自民党総裁)が7月の参院選公約に盛り込むよう党側に指示した全国民対象の2万円給付案です。

 国民1人あたり2万円の現金給付に加え、低所得の住民税非課税世帯の大人と、18歳以下の若年層には1人2万円を上乗せすると、東京都議選の告示日にあわせる形で表明しました。

 なぜ評判が悪いのかといえば、一回きりの2万円給付では、あらゆる商品、公共料金やサービスに及ぶ物価高騰には焼け石に水だからです。

■露骨な「選挙対策」

 林芳正官房長官は給付金を2万円とした根拠について「年間の食費にかかる消費税負担額が1人2万円程度であることを念頭に置いている」(16日の記者会見)と言います。国民の消費税負担を持ち出すなら、一回限りの給付金ではなく、課税対象や期間を限定しない消費税減税が必要です。日本共産党が緊急の物価高対策として求めている消費税の5%への減税に踏み出すべきです。

 政府・与党内では4月にも、全国民を対象とした3万~5万円の現金給付案を盛り込んだ補正予算が検討されました。しかし各種世論調査で厳しい評価が多く、見送った経緯があります。当時世論調査で8割以上が「効果がない」と回答したことに自民党の森山裕幹事長は「預金に回ると受けとられた」(4月14日の会見)と物価高対策になりえていないと認めました。ならば物価高に伴う重い消費税負担など、生活苦の原因を取り除く対策が不可欠です。

 ところが、あくまで消費税減税は拒否し、経済無策を批判されて、2カ月前に引っ込めた現金給付案を都議選の最中、しかも参院選公約として再び打ち出しました。国民の血税を使っての露骨な「選挙対策」そのものです。

■何でもずっと減税

 今回の現金給付案では3兆円以上の財源が必要と見込まれます。石破首相は「税収動向を見極め、適切に確保し、赤字国債に依存しない」と言いますが、具体的な財源は示さないまま。一方で、国会の党首討論で税収増による国民への還元について「そんな(余裕のある)財政状況とは認識していない」と矛盾した答弁をしています。現金給付案は無責任な一時しのぎであるのが明白です。

 消費税5%への減税は正社員もフリーランスも、高校生も年金生活者もだれでも負担減、毎日の生活にかかるあらゆるものが負担減となります。平均的勤労者世帯で年12万円の減税です。「食料品だけ0%」にした場合に比べて2倍の減税額です。いま求められているのは、「時限的」ではない物価高対策です。

 報道各社の世論調査では消費税減税・廃止を求める声は7割超と圧倒的です。消費税は廃止をめざし緊急に5%に減税を、その財源は大企業・富裕層への減税・優遇税制にメスを入れ応分の負担で確保する立場こそ国民の願いに応えた道です。


pageup