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2025年6月19日(木)

きょうの潮流

 カジノのインフラ整備と一体で強行された大阪・関西万博。テレビなどメディアの礼賛報道が続く一方で、メタンガスの発生や災害時の避難対策、医療体制の貧弱さなど危険が払拭できません▼各国が自国の技術や産品をアピールする万博は、1851年にロンドンで開催されたのが始まり。日本がかかわるのは11年後の62年で、幕府の遣欧使節団がロンドン万博を訪れています。67年のパリ万博には幕府や薩摩藩などが初めて出品しました▼明治時代には万博に触発されて日本国内でも「内国勧業博覧会」が開かれました。77年から1903年までに5回開催され、最後の開催地はくしくも今回の万博が開かれている大阪です。この博覧会では、極めておぞましい「展示」がありました▼アイヌや沖縄、朝鮮、台湾などの人びとが民族衣装姿で「展示品」として見世物にされたのです。この時代、他民族への差別と蔑視は日常的なものでした。北海道ではアイヌの写真が「土人風俗絵はがき」などの名称で、土産物として売られました▼こうした写真は学術研究の「標本」にもされていたといいます(大坂拓著『写真が語るアイヌの近代』)。他民族の尊厳を平然と踏みにじる行為は、「研究」のためとして遺骨の盗掘にまで至っています。盗まれたとみられる遺骨が、いまだに残されている大学もあります▼今も続く民族差別。国際的イベントなら、歴史を振り返り、互いを人間として尊重し合う未来を語り合うことこそ必要ではないでしょうか。


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