2025年6月18日(水)
陸自オスプレイ 夜間低空飛行 訓練区域を拡大
千葉・木更津から九州全域へ
防衛省が陸上自衛隊(陸自)の垂直離着陸機オスプレイ(V22)の低空飛行訓練区域の設定を進めていることが17日、本紙の取材と日本共産党の田村貴昭衆院議員の調査で判明しました。防衛省は、陸自木更津駐屯地(千葉県)から全17機を、7月9日に開設する佐賀駐屯地(仮称・佐賀市)へ8月中旬までに順次移駐させるとしており、九州での低空飛行訓練を見越した動きとみられます。
![]() (写真)木更津駐屯地に着陸した陸上自衛隊のV22オスプレイ。手前は「オスプレイはいらない」と抗議する人たち=2020年7月10日、千葉県木更津市 |
国土交通省によれば、6月1日現在、防衛省からの申請に基づき、航空法が定める最低安全高度(人口密集地で300メートル、その他の地域で150メートル)以下での陸自オスプレイの低空飛行を許可した区域は、「木更津飛行場を中心として半径4キロメートル以内」や「日出生台(ひじゅうだい)演習場(大分県・熊本県)」など計8カ所です(表)。このうち「大矢野原演習場(熊本県)」と「大野原演習場(長崎県)」は、初めて許可された区域です。
いずれも許可期間は、4月1日から来年3月末までの1年間で、飛行の目的を「試験飛行・操縦訓練」としています。飛行する時間帯は、関東周辺地域が「昼間・夜間」、九州地域が「夜間」となっています。
防衛省は陸自オスプレイについて、日本版海兵隊と呼ばれる水陸機動団(長崎県佐世保市)の輸送を主な任務とし、対中国を念頭に、南西諸島での一体的運用を計画しています。そのため「パイロットの技量の維持・向上にとって低空飛行訓練や夜間飛行訓練が不可欠」と説明しています。佐賀駐屯地への移駐が完了すれば、訓練区域をさらに拡大していくことが予想されます。
陸自のV22オスプレイを巡っては昨年10月、日米共同統合実動演習「キーン・ソード」の訓練中に陸自与那国駐屯地(沖縄県)で機体損壊事故を起こしています。
配備計画中止を
![]() |
田村貴昭議員の話 九州地域では、米軍機による傍若無人な低空飛行が住民に怒りと不安を与え続けています。さらに陸自オスプレイが法基準を下回る低空飛行区域を広げるなど断じて認められません。引き続き政府に対し、欠陥機オスプレイの配備計画の中止・撤回を強く求めていきます。
陸自オスプレイの低空飛行訓練設定区域(6月1日現在)
《○印は新規区域》
木更津飛行場(千葉県)を中心として半径4キロメートル以内
東富士演習場(静岡県)
北富士演習場(山梨県)
相馬原飛行場(群馬県)を中心として半径2キロメートル以内、その他、同飛行場周辺(相馬原地区)
十文字原演習場(大分県)周辺
日出生台演習場(大分県、熊本県)
○大矢野原演習場(熊本県)
○大野原演習場(長崎県)
※本紙の取材及び田村貴昭議員の調査をもとに作成