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2025年6月15日(日)

主張

イスラエルの攻撃

蛮行と報復連鎖とめる行動を

 国際法を無視したイスラエルの蛮行がとどまるところをしりません。中東で戦火を拡大する無法行為に断固抗議し、直ちに中止を求めます。国際社会は必要な制裁措置を含む一致した行動をとり、イスラエルの無法を一刻も早く止める必要があります。

 イスラエルは13日、イランの核関連施設など各地に大規模な空爆を行いました。イスラエル軍は「イランの核開発計画への先制攻撃を行った」との声明を発表、ネタニヤフ首相は「イランの核濃縮プログラムの核心を攻撃した」とのべました。こうした先制攻撃は、明白な国連憲章と国際法への違反です。

■核施設攻撃は重大

 イランは「イスラエルによる宣戦布告に等しい」としてミサイルなどで反撃しており、地域全体への衝突の拡大が強く懸念される極めて危機的状況です。国連のグテレス事務総長は事態の軍事エスカレートを非難し、双方に最大限の自制を求めました。

 核関連施設を狙った攻撃は重大です。施設が破壊され放射性物質が飛散すれば、広範囲に取り返しのつかない被害をもたらす恐れがあります。ネタニヤフ首相は、イランが核開発を続けイスラエルを核攻撃するのを未然に防ぐためだとします。しかし、イランの核開発をめぐっては、国際原子力機関を含む枠組みの下で協議が続けられ、近く米国とイランとの協議も行われる予定でした。現状を「脅威」だと決めつけたイスラエルの攻撃は、まったく正当性のない暴挙であり、外交による問題の平和的な解決を遠ざけるものでしかありません。

■米国は責任免れぬ

 米国はイスラエルの攻撃を事前に知りながら、止めませんでした。黙認した責任は重大です。米国は一貫してイスラエルを軍事支援し、パレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)や支援物資停止などの非人道的行為を支えてきました。イスラエルの蛮行、中東での戦争拡大を止めるためにイスラエル支援をやめるべきです。

 イスラエルに擁護的だった欧州では変化が見られます。英仏加の3首脳は共同声明で「イスラエルが新たな軍事攻撃をやめず、人道支援への制限を解除しなければさらに具体的な対応をとる」とし(5月19日)、欧州とアラブ諸国の会合でスペイン外相はイスラエルへの国際的な制裁を呼びかけました(同25日)。

 実際に今月10日には英豪加など5カ国がイスラエルの国家治安相と財務相に資産凍結や渡航禁止など新たな制裁を科すと発表しました。17日から予定されていたイスラエル・パレスチナ「2国家共存」を推進する国連会合は今回の攻撃で中止されました。

 国際社会は、攻撃の応酬と紛争の地域全体への拡大を止める緊急の外交とともに、イスラエルに対し一致して、武器輸出の禁止などを求めた国連決議に基づく制裁をすべきです。石破茂首相も出席する15日からの主要7カ国首脳会議(G7)ではそのことが問われます。日本政府はイスラエル非難の声明を出しましたが、具体的な行動が必要です。米国にイスラエル支援の中止を迫るべきです。


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