2025年6月15日(日)
軍事研究の司令塔
「防衛科学技術委員会」発足
大学教授ら委員に任命
学術界の軍事動員を進めるために強行された学術会議解体法成立(11日)直後の露骨な動きです。防衛省は12日、人工知能(AI)や宇宙、サイバーなど先端軍事技術に関する助言や提言を防衛相に行う「恒常的な会議体」として、「防衛科学技術委員会(DSTB)」(委員長・前川禎通東北大名誉教授)の設置を発表し、委員に現役の教授ら大学関係者9人を任命しました。
防衛省はすでに、軍事研究に助成金を与える「安全保障技術研究推進制度」や、官民で構成される「防衛イノベーション科学技術研究所」など、米国などをモデルにした「軍産学」連携の体制を構築しています。DSTBはそれらの上位に位置(図)。委員長の前川氏は防衛大臣科学技術顧問に任命され、防衛相に直接的な助言・提言を行います。米国防総省の諮問機関「国防科学委員会(DSB)」をモデルにしたもので、まさに軍事研究の司令塔と言えます。
重大なのは、DSTBの活動内容案として、「アカデミア(学術界)を含む研究者・技術者の参画促進等に係る助言等」を行うとして、学問の軍事動員推進を明記していることです。さらに、「アカデミア等とのネットワーク拡大の支援(大学・国立研究所等の有識者の紹介」など、“人脈”を活用した研究者の勧誘が盛り込まれています。
研究費の削減で苦しんでいる現場の研究者に働きかけ、巨額の研究費と引き換えにした軍事動員が加速することが予想されます。
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