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2025年6月14日(土)

賃上げ・減税ゼロ回答

25年骨太方針閣議決定 国民要求に背

 石破茂政権は13日、同政権として初めてとなる「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針)を閣議決定しました。社会保障削減路線の行き詰まりを反映して一部見直しを盛り込んだものの、抜本解決から背を向け、賃上げや消費税減税など国民要求にはゼロ回答でした。

 社会保障費について、高齢化に加え物価高による増加分も反映するとしました。一方で、27年度まで歳出抑制を続けると明記。医療・介護など福祉現場での賃上げが緊急課題にもかかわらず、その財源を歳出改革の努力で生み出すのでは逼迫(ひっぱく)した現状に対応できません。

 医療分野で、2年後の新たな地域医療構想に向けて、病床削減を進めます。6日に自民、公明、維新の会の3党が医療費約1兆円の削減に向けて11万床削減すると合意しましたが、その内容を反映させたものです。コロナ禍の教訓を踏まえず、さらなる病床削減は地域医療の危機を加速させるだけです。

 OTC類似薬の保険給付のあり方を見直すとも明記。3党は11日に市販薬と効能が似た「OTC類似薬」を保険から外すことも合意しており、保険外医療を拡大し、患者負担増と医療の市場化を進めるものです。

 診療報酬について、賃上げや経営安定、人材確保に向け、「コストカット型からの転換を明確に図る」としていますが、物価上昇で「地域から病院がなくなる」という深刻な事態が広がるなか、診療報酬の基本部分の抜本引き上げは明記されていません。

 介護分野では▽高齢者の負担額や介護サービスの給付範囲の見直し▽中山間地域の介護人材の配置基準の緩和▽事業者間の連携や大規模化▽保険外サービスの普及―などを進めるとしています。

 骨太の方針は「賃上げこそが成長戦略の要」と掲げます。しかし、最低賃金の引き上げ目標を「2020年代に全国平均1500円」とし、国民要求である全国一律1500円の早期実現からはほど遠いものです。中央最低賃金審議会の目安を超えて引き上げる地方に限定して、「政府の補助金による重点的な支援」を行うと明記。その内容は「生産性向上」に取り組む中小企業への「後押し」にとどめ、中小企業が求める社会保険料などへの直接支援には言及しません。

 「多様で柔軟な働き方の推進」を掲げて「労働基準法制の見直し」を検討するとし、労働法制解体の方向を示しました。さらに、「減税より賃上げ」を基本的考え方と強調。「減税政策によって手取りを増やす」ことを否定し、消費税減税に背を向けました。

 昨年来引き続くコメ高騰に対し、「流通の円滑化」や「丁寧な情報発信」など総合的対応を進めるとしますが、根本原因である減産押しつけには言及しません。「水田政策の見直し」を明記したものの「農地の集約化」など従来路線を前提に、「制度の見直し・強化に取り組む」としました。

 「GXの推進」として、原発の「電源を最大限活用する」と原発推進をあらわにしました。そのために、原発の「再稼働」に加え、「建て替え」の具体化を進めると明記しました。


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