2025年6月13日(金)
年金底上げなく1割減
参院厚労委 法案可決 倉林氏が反対討論
![]() (写真)首相に質問する倉林明子議員=12日、参院厚労委 |
年金を物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」を温存した年金制度改定法案が12日の参院厚生労働委員会で、自民党、立憲民主党、公明党の賛成多数で可決されました。日本共産党と日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組は反対しました。
同法案を巡っては衆院で、自民、立民、公明の3党が年金積立金を活用した基礎年金の「底上げ」の判断を2029年の財政検証まで先送りする修正を行いました。日本共産党の倉林明子議員は反対討論で、同法案がマクロ経済スライドを継続し、今後十数年にわたり年金水準が下がり続け、3党修正案でも年金水準は実質1割引き下げで「底上げには値しない」と批判。就職氷河期世代を含め、現在と将来の低年金・無年金者をなくすために最低保障年金制度の創設に踏み出すよう求めました。
質疑で倉林氏は、40年に平均所得を5割以上上昇させるとする自民党の参院選公約の報道を挙げ「平均所得の引き上げを目指すなら、年金そのものの思い切った底上げは避けて通ってはならない」と指摘。マクロ経済スライドで30年代後半まで年金水準は下がり続けると強調しました。
石破茂首相は「年金だけで暮らしている、少ない貯蓄を取り崩しながら暮らしている方々が困窮していることは承知している」などと述べましたが、所得を5割以上上昇させながらマクロ経済スライドの給付抑制を続ける矛盾には触れませんでした。
倉林氏は「年金暮らしの女性の85%が(月額給付)10万円以下で、クーラーもつけない暮らしだ。そういう所得の人たちも視野に入れた(所得の)引き上げが必要だ」とし、マクロ経済スライドの廃止を迫りました。