2025年6月12日(木)
教員給与特別措置法改定案
吉良議員の反対討論(要旨)
参院本会議
日本共産党の吉良よし子議員が、11日の参院本会議で行った、教員給与特別措置法(給特法)改定案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
1971年、当時の自民党政府が、公立学校の教員に対し残業代支給を適用除外とする給特法を制定し、日本共産党を含めた全ての野党が反対しました。制定以降、政府はコスト意識がゼロとなり、教員を増やさず次々業務を増やし労働時間は無定量となりました。小中学校の教員は毎日平均11時間半働き、休憩どころかトイレにも行けず、SNSには「もう限界」と悲鳴が上がっています。
本法案は、残業代不支給には手をつけず、教職調整額を現行の4%から10%に引き上げます。これは現状の労働実態に全く見合わないことは明らかで、適正な処遇改善とは言えません。
特別支援教育に携わる教員への給料の調整額を引き下げ、学級担任手当も支給しないのはあまりに理不尽です。阿部文科相は「特別支援教育の重要性は低下していない」と答弁しましたが、調整額引き下げは軽視そのものです。障害に応じて専門知識を身につける研修を自費で受け、子ども一人ひとりに向き合う特別支援教育を担う教員の特殊性や重要性を理解していない。今すぐ撤回するべきです。
新たに創設される「主務教諭」は、教員間に階層化と分断を生み、業務負担の増大も懸念されます。先に「主任教諭」を導入した東京都では対等に支え合う教員の同僚性が壊されている実態があり、主務教諭の導入は容認できません。
本法案は、業務量管理や健康確保、時間外在校等時間など「目に見える成果」を教育委員会や学校に求めるもので、持ち帰り残業をこれまで以上に増長させる恐れがあります。国が行ってきた勤務実態調査の継続も拒否しており、教員の労働実態を把握できません。
かつて文科省が、教員1人あたり1日4コマを基準に基礎定数を算定していましたが、阿部文科相は、1日5~6コマ押しつけられている現状を追認しています。その上、「時間外在校等時間はゼロになるとは限らない」と言い、石破首相も「教員の時間外勤務は労働時間に当たらない」と述べました。しかし、教員は勝手に残業しているわけではありません。最高裁は「教員の時間外労働は黙示的な職務命令が及んでいる」と認めています。
教員からも怒りと失望の声が上がる中、「働かせ方題」を温存する本法案に断固反対します。