2025年6月12日(木)
きょうの潮流
約20年前、障害者自立支援法の施行で障害のある人は、くらしのあり方の大転換を余儀なくされました。食事や排せつ、入浴など生きるために必要な支援を得ると、原則1割の利用料負担が課せられたからです▼作業所に通うと利用料の請求が。働いて得たお金以上の支払いです。利用を制限せざるを得ず、たびたび駅前でしゃがんでいる姿をみせた知的障害のある人たちもいました。少なくない障害者や家族がいのちを絶つほどの絶望に追い込まれました▼これにあらがおうと立ち上がった71人の障害者が社会を変えました。国を相手に訴訟を起こし、利用料負担ゼロを勝ち取って基本合意を締結。40万人以上もの人がその対象になりました▼訴訟の終結後も運動はつづきます。基本合意に明記された制度の改善が適正にすすめられているかを国と原告らが確認する定期協議を毎年開催。これに呼応して、障害者には使いづらい介護保険の利用を強いられる問題でも訴訟に▼自立・自助を強調し社会保障の改悪をすすめる自公政権。それでも、障害福祉施策は大きな改悪を許していません。基本合意という「防波堤」があるからだと、訴訟弁護団事務局長の藤岡毅さんは指摘します▼障害者自立支援法が制定されて以来、障害のある人と家族、支援者らの運動は連綿とつづいてきました。「これまでのたたかいを長いとは思わない。憲法は不断の努力で権利が保持されるとうたっているから」。全盲の竹下義樹弁護団長は強調します。運動はこれからも。