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2025年6月11日(水)

主張

森友文書の欠落

全容解明へ政府は責任果たせ

 森友学園に国有地が破格の安値で売却され、関係文書が改ざんされた問題で財務省は文書の開示を始めていますが、政治家がらみの部分が欠落しています。関係文書の全面開示が強く求められます。

 開示は、文書改ざんを強いられて自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さんが訴え、長いたたかいの末、実現したものです。

■廃棄された応接録

 財務省は同省が検察に提出した文書を1年かけて17万ページを順次開示するとし、4月に続き、9日、2回目の開示を決めました。しかし、1回目の開示には多くの欠番がありました。

 財務省は「欠落部分は政治家関係者に言及しているものが多くを占めていると推認され、大部分は記録を廃棄した過程で欠落したと考えられる」と説明しています。

 森友学園の籠池泰典理事長(当時)夫妻が、安倍晋三首相(当時)の妻・安倍昭恵氏と問題の国有地前で一緒に撮った写真を近畿財務局の担当者に示した日の2014年4月28日の記録も欠けています。その日、籠池氏は「夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と担当者に伝えました。この日を境に財務省の対応は売却へ前向きに急転しています。

 なぜ開示文書に欠落があるのか。財務省が廃棄した理由は明らかです。昭恵氏が森友学園側の名誉校長であり、国会で安倍首相が「私や妻が関係していたなら総理大臣も国会議員もやめる」と強弁したため、関与の疑いを消し去ろうとしたのです。

 財務省は日本共産党の辰巳孝太郎議員の質問に「本省理財局からの指示を受けて、政治家関係者との応接録として存在が確認されたものを廃棄し」、「国会でのさらなる質問につながりうる材料を極力少なくすることが主目的だった」(5月22日、衆院総務委)と認めています。

 そこに何が記述され、誰が廃棄を指示したのか、明らかにさせなければなりません。

 森友問題を解明するための第三者委員会の設置を求められた安倍首相は理財局長だった佐川宣寿氏の文書改ざんについて「最強の第三者機関と言われる検察が捜査した結果(不起訴)がすでに出ている」と拒否してきました。

 しかし、今回、開示文書の欠落が判明したことで、検察は核心部分のない資料しか入手しないまま捜査を幕引きしたのではないか、との重大な疑問が生まれています。財務省がもともとのすべての文書を検察に提出していたなら、当然、開示すべきです。

■不適切認めるなら

 国有財産が、首相の妻や政治家の介在で不当に安く売り渡され、その事実を隠蔽(いんぺい)するために公文書が改ざんされた―問われているのは民主主義の根幹にかかわることです。

 「廃棄は不適切だった」(加藤勝信財務相)と認める以上、政府・財務省は、検察に提出した文書だけでなく、いっさいの関連文書の公開、関係者の聞き取りをし、全容を明らかにすべきです。

 第三者委員会の設置や証人喚問を含め、国会での徹底的な解明が求められています。


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