2025年6月11日(水)
ロスに海兵隊700人派遣
州兵派遣 知事が提訴
【ワシントン=洞口昇幸】米国防総省は9日、西部カリフォルニア州ロサンゼルスでトランプ政権による強引な「不法移民」の取り締まりに抗議する市民の行動が続いていることに対し、海兵隊員約700人の派遣と州兵2000人の追加投入を発表しました。カリフォルニア州政府は同日、トランプ大統領が出した州兵派遣の命令は違憲だとして提訴しました。
米メディアによると、カリフォルニア州に駐留する海兵隊が9日、移動を始めました。国内問題の対応に海兵隊を派遣することは極めて異例です。国防総省は、現地の連邦政府庁舎や人員の保護などが任務だと説明しました。
トランプ政権による州兵派遣はカリフォルニア州のニューサム知事(民主党)の頭越しに行われました。大統領が州知事の要請なしに州兵を派遣したのは1965年以来初めて。連邦法は、大統領による州兵の派遣は州知事の発令によって行われると定めています。
ニューサム氏は提訴にあたり、「トランプ氏は憲法の順守を怠り権限を踏み越えている」と指摘。「意図的に混乱を引き起こし、地域社会を恐怖に陥れ、民主主義の原則を危険にさらしている。独裁主義への紛れもない一歩だ。私たちは許さない」と厳しく批判しました。
一方で同知事は、デモ隊の一部が暴徒化したことについて、X(旧ツイッター)で「暴力を持ち出すことはまさにトランプ氏が求めている反応だ」と指摘し、平和的に行動するよう訴えました。
同州各地では市民が9日も、拘束された移民の解放などを求めて抗議行動を行いました。
民主党進歩派のサンダース上院議員は声明で、トランプ氏がまた権力欲を募らせて法を無視したと強調。「民主党、共和党、無党派を問わず全ての米国民は、この甚だしい権力の乱用に団結して立ち向かわなければならない」と述べています。