2025年6月11日(水)
独立性・自主性・自律性奪う
学術会議解体 井上氏が反対討論
参院委で法案可決
憲法が定める「学問の自由」を侵害する日本学術会議解体法案の採決が10日、参院内閣委員会で行われ、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組は反対しました。日本共産党の井上哲士議員は反対討論で、法案の本質は「独立性、自主性、自律性を根こそぎ奪い、学術会議を解体するもの」だと指摘。「学術会議の理解も同意もないこのような法案は廃案以外にない」と強調しました。
![]() (写真)反対討論に立つ井上哲士議員=10日、参院内閣委 |
法案は現行の学術会議法を廃止し、国の特別な機関である学術会議を特殊法人化し、首相が任命する監事や、外部者でつくる会員選定助言委員会などを新設します。
井上氏は、審議の前提として求めた「学術会議会員候補6人の任命拒否の理由やその経過、根拠となった法解釈の変更過程を示す行政文書の黒塗り開示は拒否したままだ」と指摘。「採決など言語道断だ」と主張しました。
2017年の学術会議の軍事的安全保障研究に関する声明が、個々の研究者の学問の自由を侵しているかのような議論について、「全く声明の趣旨をはき違えたことだ」と批判。問題となった防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は、研究の進捗(しんちょく)管理は防衛省職員が行い、研究成果は防衛産業に無償利用されることは拒めない制度だと指摘し、「学問の自由を侵害する恐れのある資金について、学術会議が慎重な判断を求めるのは当然だ」と強調。軍事目的の学問研究を推進したい政府にとって学術会議が邪魔だということだと述べました。
井上氏は、学術会議が国の機関であることと「独立性」は矛盾するという政府の主張に、「世界の平和と人類、社会の福祉に貢献しようとする」という国家的要請に応える「学術会議の使命と、国の機関でありながら独立して職務を行うという、現代の学術会議の組織形態は一体不可分であり、何の矛盾もない」と主張しました。