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2025年6月7日(土)

主張

消費税の使いみち

大企業・富裕層減税の穴埋め

 政府・自民党は消費税は「社会保障の財源」「高齢化社会に対応するため」などと言います。しかし、消費税増税の本当の狙いは、財界が執念を燃やす大企業の負担軽減にあります。「社会保障のため」というのは、後付けの理由にすぎません。

■財界の強い要求で

 消費税導入と度重なる増税は、一方での法人税、所得税減税とセットで、財界の強い要求で実施されたものです。

 税・財政が果たすべき役割は、社会保障や教育をはじめ、国民の暮らしや営業をまもることと、負担能力に応じた税制や社会保障制度による所得の再分配で格差の是正をはかることです。

 ところが、自公政権はこの本来の役割を投げ捨て、低所得者ほど負担率が大きくなる逆進性の強い消費税を何度も引き上げてきました。

 その結果、国の一般会計では消費税が所得税、法人税を超えて最多の税収項目となりました。消費税導入以来、25年度末までの37年間で消費税収の累計は571兆円にのぼります。

 ほぼ同時期に、大企業の法人税減税と、超富裕層が恩恵を受ける所得税減税で、それを上回る税収の大穴があきました。

 減税と景気悪化による減収額は、法人3税(法人税、法人事業税、法人住民税)で314兆円、所得税・住民税で292兆円の合わせて606兆円にのぼります。消費税はその穴埋めに消えてしまったのです。

 1986年、経団連は「行財政改革と税制の根本改革について―中間報告と提言」を取りまとめました。「所得税体系の是正、法人税負担の適正化」として減税を求め、財源として「課税ベースの広い間接税」すなわち消費税の導入検討を求めました。この提言を受け自民党政権は89年に消費税3%を導入しました。

 さらに経団連は93年、「今後の税制改正に対する提言」を発表しました。「所得税、法人税を減税するとともに、消費税を基幹的な税制として位置づけ」るとし、「大幅な消費税率の引き上げ」を提起。自民党政権は97年に消費税率を5%に引き上げました。

 2007年には経団連は「希望の国、日本」と題する長期ビジョンで「日本の税制が法人課税や個人所得課税など直接税に大きく偏っている」ことを問題視し、法人税を「大幅に引き下げ」「個人所得減税を実施」するよう要求しました。消費税率を段階的に上げるシナリオまで明記しました。これに沿って第2次安倍晋三政権は14年4月に8%、19年10月に10%への増税を強行しました。大企業・富裕層減税のために消費税が引き上げられたことは明白です。

■税制のゆがみ正せ

 低所得者ほど負担率が重い消費税導入と増税、一方での大企業と大金持ち向けの優遇減税は、税制を大きくゆがめています。負担能力に応じて税を払うことが税の公平だということは、政府も認めています。

 消費税を減税する財源は、大もうけしている大企業と富裕層から応分の負担を求めるべきです。


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