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2025年6月6日(金)

主張

斎藤知事による漏洩

度重なる違法 辞職のほかない

 「重く受け止める」と言いつつ、あくまで示された判断は受け入れない―6月議会開会後初の定例会見(4日)で兵庫県の斎藤元彦知事は、県が設けた第三者委員会の認定を改めて否定しました。開き直り続ければ免罪されるかのような許されない態度です。

 知事の疑惑を告発した元県幹部の私的情報漏洩(ろうえい)の経緯を調査した第三者委は、漏洩は、知事とそれに同調する当時の副知事の指示で行われた可能性が高いとする報告書を公表しました(5月27日)。目的は、告発者の人格や人間性に疑問を抱かせ、告発文書の信用性を落とすことにあったと認めており、重大です。

■告発者つぶし主導

 一連の問題の発端は昨年、知事が元県幹部の告発を「うそ八百」と決めつけ懲戒処分にしたことです。告発者はその後、自殺しました。昨年の県知事選では維新の会の県議が、私的情報に関する怪文書を、斎藤氏応援を訴える立花孝志氏に流しました。その結果、SNSや街頭でデマが拡散し選挙結果に大きな影響を与えたうえ、立花氏に攻撃された県議が自殺する最悪の事態を招きました。

 告発文書を調査した別の第三者委は3月、告発は公益通報に当たり、告発された当事者である知事の指示で通報者捜しがされ、懲戒が行われたのは公益通報者保護法違反で「違反の程度は極めて大きい」と断じました。私的情報は、その違法な通報者捜しの中で県が押収したものです。

 さらに今回、斎藤知事がその情報を漏らすという不正行為を指示し、自らの権力を使って告発者つぶしを主導したことが認定されたのです。

 前総務部長は指示を受けて県議3人に漏洩したと認めています。地方公務員法の守秘義務違反です。総務省は2日、日本共産党の大門実紀史参院議員の国会質問に、指示をした知事の行為は、特別職であっても地方公務員法違反になりうると答えました。

 第三者委の認定に基づいて前総務部長を懲戒する一方、自分は認定を受け入れない不誠実。一番に処分されるべきなのは斎藤知事自身です。

■法尊重の姿勢なし

 知事はこの間、百条委や二つの第三者委の認定を一貫して無視しています。第三者委の意味を失わせる行為です。公益通報者保護法を所管する消費者庁が知事の法解釈の誤りを指摘し是正を求めたのも受け流す態度です。法尊重の姿勢に欠け、知事失格です。

 日本共産党の兵庫県議団は2日、知事に対し、非を認め自らの懲戒処分として辞職するよう強く要求し、死去した元県幹部の処分撤回、名誉回復、遺族への謝罪、前総務部長の刑事告発を求めました。

 元県幹部の私的情報のデータが立花氏に流れ拡散した経緯を調べた三つ目の第三者委は、漏洩者は特定できなかったとしました。維新の県議が立花氏に渡した怪文書の出所も闇の中です。これらも、すべて知事の告発つぶしから発しているといえます。

 県政の混乱、県民の分断を招き、死者2人を出した責任は重大です。自らへの減給処分を表明しましたが、到底それで済むものではありません。辞職すべきです。


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