2025年6月3日(火)
主張
共産党の不登校提言
子どもには休息の権利がある
子どもの不登校がこの10年で3倍と急増し、小中学校で35万人近くになっていることに対し、日本共産党は5月23日、提言を発表しました。記者会見動画の視聴者や読者から多くの共感の声がよせられています。
提言は二つの柱からなります。第一は、いま行き渋りや不登校で悩んでいる子どもと親(保護者)が安心できる支援策です。第二は、過度の競争と管理の教育を見直し、子どもたちが通いたくなるような学校をつくることです。
提言は第一の柱で、「不登校は、子どものせいではありません」「不登校を怠けや弱さと捉えたり、親の甘やかしのせいだと言うのは誤りです」としました。さらに子どもの権利の立場から「子どもが学校に行くことは義務ではない」「子どもは安心して休む権利がある」と明記しました。
■安心できる支援を
ここには、不登校の多くは心の折れた状態にあるという基本的認識があります。骨折した子どもを走らせないように、心の折れた子どもに無理をさせることはできません。
提言は、不登校への支援の基本を「子どもの心の傷の理解と休息・回復の保障」におくことを提案し、子どもや親を追いつめかねない「学習活動」中心の国の不登校対策を批判しています。
親への手厚い支援も提言の特徴です。子どもを支えるには適切な情報提供や相談、休業補償などが欠かせません。出欠連絡など学校との関係の負担を減らす提案にも共感がよせられました。
介護休業制度(通算93日まで、賃金補償あり)の周知や拡充、フリースクールや交通費、昼食費などの負担軽減、親たちのつながりへの支援も切実な課題です。さらに提言は、フリースクール等への公的助成、子どもの不登校に対応する各種の公的施設の拡充を提案しています。
■競争と管理見直せ
提言は第二の柱で、不登校の急増が第2次安倍政権(2012年12月~20年9月)とともに始まっていることを指摘し、同政権が学校での競争と管理をエスカレートさせ、学校をギスギスした場にしてきた問題に踏み込みました。国が不登校対策といいながら、その裏で学校嫌いをふやすような教育政策を進めているのでは道理がありません。
例えば、詰め込みの学習指導要領による“忙しすぎる学校”です。小学校4年で毎日6時間授業、2年生でも6時間の日があります。休み時間が削られ、トイレの時間も短く、給食もゆっくり食べられない。不登校当事者アンケートで子どもたちは「学校は忙しすぎる」と訴えています。
行政や学校を点数競争に巻き込んでいる全国学力テスト、子どもの「規律」を一方的に求める国の姿勢、教員の多忙化や教育者としての自由の剥奪は、学校を子どもにも教員にも面白くない場に変えてきました。その転換は、不登校にとどまらず、教育全体に希望と活力をもたらします。
不登校急増のいま、一人で悩まず、不登校のこと、学校のことを語り合いませんか。一緒に力を合わせ、少なすぎる教育予算もふやし安心できる教育と社会に変えましょう。