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2025年6月2日(月)

主張

年金法案「修正」

削減の継続やめ引き上げこそ

 政府提出の年金改定法案が、自民・公明・立民の3党による「修正」を経たうえで衆院を通過しました。

 法案審議で最大の焦点となったのが、毎年の年金改定率を物価や賃金の伸びより低く抑えることで年金を実質減額する「マクロ経済スライド」の仕組みにより、今の高齢者の年金はもちろん、現役世代の将来受けとる年金まで減らされていく問題です。

 自公と立民は、衆院での修正によって年金削減に歯止めがかかり「基礎年金の底上げ」がされると説明しています。しかし実際は、修正によってもマクロ経済スライドはすぐには終わらず、年金削減は継続されます。

■支給額が1割減少

 自公と立民の修正は、5年後に制度のあり方を「検討」し、厚生年金の積立金を基礎年金(年金の1階部分)の給付維持に活用することなど、マクロ経済スライドの終了を早めるための措置を行うとしています。

 たしかに、この措置が実行されれば、将来の年金削減の幅は小さくなりますが、年金が今より減ることに変わりはありません。措置の実行後もマクロ経済スライドは温存され、経済状況が過去30年と変わらない場合、2037年までの12年間に年金が10%削減されるというのが、政府と3党が示す想定です。

 その場合、現在月10万円の年金の実質価値は月9万円に、20万円の年金は18万円に引き下げられます。現役世代が将来受けとる年金も、今より10%削られた水準となります。これでは、年金制度に関わる現役世代の将来不安の解消策とはなりません。

■共産党の改革提案

 年金改定法案の衆院での可決に際し、日本共産党はマクロ経済スライドをすみやかに撤廃するための修正案を提出しました。巨額の年金積立金を活用しながら、高額所得者の保険料の“頭打ち”を見直すなどの改革を行えば、年金削減をただちにやめ、全世代に「物価・賃金に応じて引き上がる年金」を保障することは可能です。

 年金積立金は総額290兆円がたまっています。3党の修正は5年後に制度のあり方を検討したうえで、積立金を給付維持のために使い始めるとしていますが、5年後と言わず今すぐ活用し、年金削減を止めるべきです。

 大企業役員など高額所得者の保険料については、年金改定法案にも、月収65万円で“頭打ち”とされている保険料上限を、月収75万円に引き上げる内容が盛り込まれていますが、これを健康保険料と同水準(月収139万円)に引き上げるなどの措置をとれば、年1兆円の新たな財源が生まれます。

 現役労働者の処遇改善により、年金の保険料収入と加入者を増やすことも必要です。政府が示す年金削減の将来予測は経済の停滞が今後も続くという想定を前提としていますが、現役世代の雇用・賃金の立て直しで経済を健全な成長軌道に乗せることができれば、年金財政の長期の安定運用も可能となります。

 参院での法案審議に向け、「年金削減は即時中止」の世論と運動を広げるときです。


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