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2025年6月1日(日)

主張

米政権の大学弾圧

ガザ侵攻批判の声をつぶすな

 米国の大学でトランプ政権による補助金の凍結といった介入が相次いでいます。

 ハーバード大学では外国人研究者や留学生の受け入れ認可を取り消す措置も発表されました。同政権は“反イスラエル”的言動を行った大学への制裁を公言し、抗議した留学生のビザ停止も辞さない構えです。同大は措置を不当として提訴し、連邦地裁は差し止めを認めたものの常軌を逸した介入は続いたままです。

 コロンビア大学では昨年、抗議キャンプに警察が突入し多数が逮捕されました。さらにトランプ政権になって補助金凍結が決定され、学長が辞任に追い込まれました。

 中国人留学生の査証拒否問題も浮上するなか、公権力が学問と表現の自由、大学の自治を脅かす事態となっています。

■非人道行為を支援

 問題は、トランプ政権が、パレスチナ自治区・ガザの事態への抗議を「反ユダヤ主義」と決めつけ、言論を封じようとしていることです。米政府の「親イスラエル」姿勢はこれまでも露骨でしたが、今回、政権に批判的な教育機関への弾圧にまで先鋭化しました。

 学校・病院・避難所への攻撃、食料や医療の封鎖などのイスラエルの非人道的行為に対し、米国は批判どころか、むしろ積極的に支援してきました。トランプ氏は1期目にエルサレムをイスラエルの首都と認定、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金停止などを次々に実行しました。バイデン政権もガザ侵攻以降、兵器供与と外交的庇護(ひご)を継続しました。

 米国は2023年10月からの1年間で179億ドルの軍事支援をイスラエルに提供し、国連安保理での非難決議にも拒否権を行使しました。他のG7諸国と比べても異例です。イスラエルは5月、ガザでの大規模地上作戦を再開しました。支援物資搬入を妨害しながら攻撃を強化し、ジェノサイド(集団殺害)を新たな段階にエスカレートさせています。

 イスラエルへの抗議を「反ユダヤ主義」にすりかえるトランプ政権の姿勢は、ネタニヤフ政権の異常な人道蹂躙(じゅうりん)への後ろ盾となっています。

■連帯を強めるとき

 それでも希望はあります。米国内ではガザ侵攻以来、学生、市民、宗教者、一部の議員たちが政権にあらがい声を上げています。そのうねりはキャンパスを中心に広がり、表現の自由と人権を守る連帯が生まれています。

 スタンフォード大学では学生会がイスラエル支援の停止を求める決議を可決。全米のいくつもの大学で「ガザに自由を」の幕が掲げられました。民主党進歩派の一部議員も武器供与の即時停止を主張しています。

 国際社会でも、南アフリカがイスラエルの行為をジェノサイドとして提訴するなど、具体的な法的措置や経済的圧力を通じて、ガザでの行為の責任を問う動きが続いています。トランプ政権の言論弾圧や国際法と人道原則を無視した姿勢は米国の信用と求心力を低下させ、国際的孤立を深めるものです。米国内外の市民と各国政府の共同と連帯を強めるときです。


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