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2025年5月30日(金)

主張

自公維の病床削減

医療崩壊 加速させる悪政連合

 「これまで自公は、病床削減数や(それによる医療費削減)効果額についての合意に極めて否定的だった。それでは話にならないと、激しい議論をしてきたが一転、理解するとなった」。自民、公明、維新の3党が病床削減数で大筋合意した23日の協議後、維新の岩谷良平幹事長はそう語り、病床削減にハッパをかける自らの役割を誇りました。

 29日の3党の実務者協議で、11万床を削減し1兆円の医療費を削減することで改めて合意し、6月の政府の「骨太の方針」に盛り込むことを目指すといいます。維新が主張する「最低年4兆円の医療費削減」の一環です。現在の病床数(一般・療養病床)は約119万床(2023年)で、ほぼ1割の削減になります。

■すでに6万床減る

 岩谷氏は、自公がこれまで合意に否定的だったとのべましたが、自公政権が従来、病床削減に後ろ向きだったわけではまったくありません。

 14年、看護師配置が手厚く医療費がかかる高度急性期・急性期病床を削減し、入院から在宅や介護施設へ誘導し、安上がりの医療体制にすることを目的にした制度を導入。都道府県に「地域医療構想」を策定させ、25年度末を目標に病床全体で15年の125万床から119万床に、高度急性期と急性期では合わせて76・5万床から53・1万床に減らすべくすすめてきました。

 25年には病床全体では削減目標を達成する見込みです。しかし高度急性期・急性期病床を減らすのは現実には困難で思惑通りにすすまず、23年時点で、合わせてあと15・4万床の削減が迫られています。慢性期病床も1・9万床削減が必要とされます。一方、回復期病床は25年に必要とされる量の54%しかなく17万床の増床が必要としています。

 診療報酬の抑制で病院の6割が赤字、約半数が「破綻懸念先」とされ、病院の統廃合が起き「地域医療の崩壊」が叫ばれています。これ以上、11万床もの大規模な削減をすすめれば医療崩壊が急激に進みかねません。急性期医療の削減も強く危惧されます。

■補助金に申請殺到

 いま、病床を削減する医療機関に削減1床当たり400万円超の給付金を出すという「病床数適正化支援事業」への申請が殺到し、削減対象が5万4千床にのぼる事態になっています。自公政権が24年度の補正予算に盛り込んだもので、200万円超だった給付金を倍に引き上げました。

 赤字病院にとって経営難を乗り切るために喉から手が出るような金額で、国の想定の7・7倍の申し込みです。厚労省は第1弾として7千床削減分の配分を決め、第2弾も実施するとしています。

 日本共産党の倉林明子参院議員は国会で、「政府による休廃業の加速、病院つぶしにつながる」と批判。コロナ禍で入院できないまま死亡した患者の例をあげ、病床廃止を条件とせず、看護師確保や病院経営に直接支援するよう求めてきました。

 病床削減で地域医療を切り縮める政策を中止し、拡充へ切り替えることが必要です。自公維の悪政連合による病床削減をさせないために参院選挙での審判が必要です。


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