2025年5月22日(木)
主張
江藤農水相の辞任
苦しみわからぬ政権に審判を
国民の怒りが政権を追い詰めました。
国民が米価高騰に苦しむさなか、「私はコメを買ったことがない。支援者の方々がたくさんくださる。売るほどある」と発言した江藤拓農水相=衆院宮崎2区=が21日、辞任しました。
石破茂政権での閣僚辞任は初です。石破首相は直前の20日まで江藤氏の続投を表明していました。閣僚更迭という“首相決断”を演出しても、江藤氏を職務にすえ続けた責任は消えません。
「庶民の苦しみが全然わかっていない」「言い訳すればするほど信頼できない」―自民党佐賀県連の18日の政治資金パーティーに出席した江藤氏の発言が報道で明らかになると、国民の怒りが爆発しました。米価は5月5~11日に全国のスーパーで販売された5キロ当たりの平均価格が前週より54円高い4268円と再び上昇に転じ、最高値を更新。その中での発言です。
■米価高騰に無策で
自公政権は米価高騰に有効な対策をとれず事実上無策に陥っています。それが国民生活に与えている影響への自覚に欠け、消費者や農家の気持ちを逆なでする発言です。二重の意味で農水相の資格・資質がないことは明らかでした。辞任は当然です。
政治家本人が支援者からコメ(寄付)をもらい、その寄付を記載しなかった場合、公職選挙法や政治資金規正法にふれる疑いもあります。
江藤氏は19日以降、発言の撤回に追い込まれたものの、「受けを狙って強めに言った」と釈明しました。発言が「受ける」と思ったこと自体、国民の気持ちが分かっていないことを示すものです。
購入経験がないという発言は「実は間違い。週に2回はスーパーを回るようにしている」と釈明し、「(地元の)宮崎ではたくさんいただくと『売るほどある』とよく言う」などと、言い訳にもならない弁明に終始したのもあきれるばかりです。
■自民党農政の破綻
重大なのは石破首相や与党の対応です。石破首相は19日に江藤氏を官邸に呼びだし注意はしたものの、「コメの価格が下がるよう引き続き努力するように」と続投を指示しました。自民、公明両党幹事長も20日の会談で江藤氏の発言を「不適切」と批判したものの、「すでに撤回し反省している」(森山裕自民党幹事長)とそれ以上問題にしませんでした。
米価高騰を招いたのは、歴代自民党政権によるコメ減らし農政です。政府は需要が毎年減ることを前提に生産削減を農家に押し付け、米価を市場任せにするなど、コメの供給と価格の安定に責任をもたずにきました。その問題が噴出しているのです。
報道各社の世論調査では、米価高騰の政府の対応を「評価しない」「期待できない」が6~7割にのぼり、価格高騰を招いた最大の原因に「生産量を減らす政策」があげられています(「共同」調査)。辞任した江藤氏も石破首相も、この歴代自民党農政の失政を抜本的に改めようとしません。参院選・東京都議選で自公政権とその補完勢力に厳しい審判を下すときです。