2025年5月21日(水)
主張
ガザへの新たな攻撃
イスラエルは集団殺害やめよ
パレスチナ・ガザの人道状況はこれ以上、一刻も放置できません。日本を含め国際社会が圧力をかけ、イスラエルの蛮行を直ちにやめさせなければなりません。
イスラエル軍は、ガザでのジェノサイド(集団殺害)を新たにエスカレートさせています。イスラエル建国時に故郷を追われ75万人のパレスチナ人が難民になった「ナクバ」(大災厄)の日から77年に当たる15日を境に、同軍はガザへの攻撃をいっそう拡大し、18日には大規模な地上侵攻を再び始めました。
ガザの保健当局によると、16日から19日までの死者は500人近くに上り、まだ多くの犠牲者ががれきの下敷きになっているとしています。
■「全域支配」が狙い
イスラエルが1月にイスラム組織ハマスと結んだ停戦合意を破り攻撃を再開した3月18日以降では、死者は3340人に達しています(2023年10月7日の侵攻開始以降では5万3475人)。国連児童基金(ユニセフ)は今月12日、「停戦崩壊以降、800人以上の子どもが犠牲になった」と指摘しています。
イスラエルのネタニヤフ首相は19日の声明で「ガザ全域を支配する」と表明し、さらに攻撃を強める構えを示しています。もはや「自衛」という口実も投げ捨て、ガザを全面占領する意図をあらわにしています。
ガザの非人道的な状況は極限まで悪化しています。
イスラエルは3月2日からガザを封鎖し人道支援物資と商業用物資の搬入を阻止してきました。ガザの住民は、飢餓の危機に瀕(ひん)しています。国連の機関は今月12日の報告書で、ガザの人口の4分の1に当たる50万人が飢餓状態にあると指摘しています。すでに57人の子どもが飢餓で死亡したとの報告もあります。
イスラエルは18日、国際社会の強い批判を受け、最低限の人道支援再開を認めると発表しました。国連のフレッチャー事務次長(人道問題担当)は19日の声明で、国連のトラック9台がガザに入ることを認められたとしつつ、「緊急に必要な量からすれば大海の一滴だ」と述べています。
■制裁の実施が必要
国際社会では、アラブ連盟(加盟22カ国)の首脳宣言(17日)に続き、イギリス、フランス、カナダの3首脳がガザでの軍事作戦の停止、人道支援物資の即時搬入を求める共同声明を発表(19日)するなど、イスラエルに対する非難が高まっています。
英仏加3首脳の共同声明は「われわれはネタニヤフ政権がこのようなひどい行動を続けるのを黙って見過ごすつもりはない。イスラエルが新たな軍事攻撃をやめず、人道支援への制限を解除しなければさらに具体的な対応をとる」と制裁を示唆しています。
国際社会は、イスラエルに対し、武器輸出や違法入植地からの輸入の禁止など、国連決議に基づく制裁を強めるべきです。日本政府も、経済連携協定交渉の停止など、具体的な行動を取るとともに、イスラエルを支援する米国に中止を迫るべきです。
イスラエルにジェノサイドの即時中止を迫る国際的なたたかいが緊急に必要です。