2025年5月20日(火)
主張
維新の会の反国民性
軍事化と社会保障削減の先兵
自公政権を助け延命に手を貸すだけでなく、悪政をけしかけ、けん引する日本維新の会の役割が際立っています。
日本学術会議を、政権や財界の意に沿う組織に変質させる日本学術会議解体法案の衆院の審議では、その突出ぶりを見せつけました。
同党の三木圭恵議員は衆院本会議などで、事実をねじ曲げた反共攻撃と、学術会議が果たしてきた役割をおとしめる中傷を繰り返しました。そのうえで、「学術会議はかたくなに国防技術の研究協力を拒み続け、それが科学技術一般の進歩を妨げてきた」と根拠なくのべ、「今後は防衛技術の研究に貢献してもらいたい」と要求。学術会議の廃止も求めました。
■自民党の本音代弁
まさに科学者に軍事研究を要求し、そのために学術会議を解体する狙いを語るものです。自民・公明の与党は本会議採決で賛成討論に立たず、維新だけが行いました。自民党に代わって法案の狙いをあけすけに言い放つ発言は自民党席から喝采を浴びました。
軍事研究によってこそ科学技術が発展するという考えは、核兵器や細菌兵器など非人道兵器の開発に科学者が協力した負の歴史や、軍需産業を発展させ「死の商人」国家化するのを肯定するものです。科学技術を軍事動員する先兵の姿を明白に示しています。
維新は、大軍拡・特定大企業優遇という重大な問題を含む2025年度予算に賛成し、自公政権の延命に手を貸しました。さらに、自公両党との合意文書に国民医療費の最低年4兆円の削減を盛り込ませました。国民医療費は約47兆円(22年度)で8・5%以上の大幅削減になります。
医療費削減の方策として維新は、医療従事者の人件費や診療報酬の「適正化」=削減、高齢者を標的にした窓口負担増による受診抑制や高額療養費制度の負担上限引き上げ・利用条件や範囲の限定―などを掲げます。
■負担の分だけ給付
長年の医療費抑制策によりいま病院の6割が赤字で「病院がつぶれる」という悲鳴が沸き起こっています。医療従事者の賃金は全産業平均に届かず離職を招き、人手不足解消のためにも診療報酬引き上げが医療現場の切実な要求です。維新の政策は、医療関係者の求めにも、高額療養費制度の改悪をするなという国民の声にも反しています。
維新は社会保障制度の「改革」として、社会保障に市場原理を働かせ、マイナンバー制度の活用で「受益と負担の把握ができる状態を一日も早く実現」し、負担(保険料)と受益(給付)を釣り合わせると主張します(「社会保険料を下げる改革案・たたき台」25年2月)。
「現役世代の保険料を下げる」とアピールしますが、保険料を多く払えば医療や介護を多く受けられ、少ない人は少ない給付と、すべての世代に「自己責任」を求めるものです。国民誰もが身体の状況に合わせて医療や介護を受けられるようにする社会保障への国の責任の放棄であり、維新の反国民性の表れです。
こうした政党が伸びても悪政が深まるばかりです。国民の厳しい審判が必要です。