2025年5月10日(土)
原発事故処理水放出で漁業共済に制限
セーフティーネットの強化・拡充を
参院農水委 紙議員
![]() (写真)質問する紙智子議員=4月24日、参院農水委 |
東京電力福島第1原発のALPS(アルプス)処理水の海洋放出に伴い、全国漁業共済組合は漁業者の減収分を補う共済補てんの契約の引き受けの制限や補てん額の減額を余儀なくされています。日本共産党の紙智子議員は4月24日の参院農林水産委員会で、制限を見直すよう求めました。
政府が2023年8月24日に、全漁連などの反対を押し切ってALPS処理水の海洋放出を決めたことから、全国漁業共済組合は24年1月から引き受け制限を導入しました。
共済補てんには、全額を補てんする「全事故方式」や減収割合で上限を定めて補てんする「約定30%方式」「約定20%方式」などがありますが、引き受け制限で全事故方式に加入できず、補てん額は半分に制限。共済限度額が1000万円で約定30%方式の場合、上限補てん額240万円が120万円に制限されます。
紙氏は、引き受け制限導入の理由を質問。森健水産庁長官は「ALPS処理水の海洋放出の風評被害による減収を見込んで(新たに)契約することを防止するためだ」と認めました。
紙氏は海水温上昇で後継者確保が困難な時期の引き受け制限は、漁業志望者の意欲をそぐと指摘。江藤拓農水相は「新規に参入する方を一律に規制するのは正しくない。共済組合と協議し、柔軟に対応するよう指示したい」と答えました。
紙氏は、政府が漁業共済引き受けを制限せざるを得ない状況に追い込むのではなく、セーフティーネットを強化・拡充することこそ必要だと主張しました。