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2025年5月10日(土)

主張

核不拡散準備委員会

ノーベル賞3団体の声を聞け

 「核兵器は…人間の手でなくすことができます。必要なのは政治的意思だけです」。 ノーベル平和賞を受賞した3団体が、トランプ米大統領とプーチン・ロシア大統領宛てに、核兵器廃絶を求める書簡を送りました。

■政治的な意思こそ

 国連本部で9日まで開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会を前に送付したもので、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の連名です。

 書簡は、「核兵器をめぐる現在の状況は、この数十年間でもっとも危険性が高い」「新たな核拡散や核抑止の拡大を求める過激な主張が復活してきています」と警告し、「核兵器が私たちをなくしてしまう前に」核兵器廃絶をと訴えています。

 いま、ウクライナを侵略するロシアが核兵器によるあからさまな威嚇を繰り返しています。米国も核態勢を維持し、北大西洋条約機構(NATO)諸国からは「核抑止力」強化や「核共有」を求める動きが広がっています。

 それだけに、核兵器使用の手を押さえ、核兵器禁止の合意をせまることが喫緊の課題になっています。

 準備委員会では、核兵器禁止条約の締約国を代表して南アフリカ、核兵器廃絶の共同行動をとる新アジェンダ連合を代表してブラジル、東南アジア諸国連合(ASEAN)を代表してマレーシアなどが発言しました。核兵器保有国に、核軍備の縮小・撤廃を定めたNPTの義務を果たし、核兵器廃絶に向けた意義ある行動を求めました。

 日本被団協の代表も会議に参加し、「被爆者は生きているうちに核兵器廃絶をと強く願っている」と訴えました。

■背向ける日本政府

 しかし、日本政府の岩屋毅外相は、「『核兵器のない世界』を求める声は、これまで以上に大きなものとなっている」としながら、核兵器禁止に向けた具体的な計画、行動をいっさい示しませんでした。

 日本政府は、唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器廃絶に背を向け「核抑止力」を信奉し、「米国による拡大抑止の提供を含む日米同盟の抑止力と対処力をいっそう強化する」(国家安全保障戦略)政策をすすめています。実態面でも核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機との共同訓練を繰り返しています。

 しかし、核兵器は非人道兵器であり、一度使用されれば取り返しのつかない大災厄をもたらすもので、安全保障政策としても成り立ちません。

 準備委員会で発言した原水爆禁止日本協議会の代表は、安全保障の悪化を理由にした「拡大抑止」の議論を批判し、「核兵器の廃絶を急ぐべきだ」と主張しました。

 いま核兵器禁止条約は、現実にロシアの核兵器使用の敷居を高くするなど国際法として力を発揮しています。昨年の国連総会でも核兵器禁止条約を支持する決議が127カ国の賛成で採択され支持が広がっています。この流れを核兵器廃絶の立場をとる政府、市民が力を合わせて大きくすることが求められています。