2025年5月9日(金)
通信情報、目的以外利用も
サイバー防御法案 参考人質疑
参院委で井上氏
参院内閣委員会は8日、「能動的サイバー防御法案」の参考人質疑を行い、日本共産党から井上哲士議員が質問に立ちました。
法案は、基幹インフラ事業者や民間事業者と協定を結べば、政府が通信情報を利用できる仕組みです。
意見陳述で齋藤裕弁護士は、同協定による通信情報の利用は一方の当事者の同意のみで可能で、現にサイバー攻撃されている、されようとしているという具体的必要性はまったく要件とされておらず「合憲性に疑問がある」と批判。令状なしで利用でき、警察の捜査での利用も排除されておらず、サイバー攻撃被害防止目的以外でも利用できると指摘しました。
井上氏は、警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集・提供したことが違法と断じられた「大垣事件」を挙げ、目的外利用で通信情報が不当に利用される危険を指摘。齋藤氏は、サイバー攻撃に関わっていなくても、個人のパソコンなどが「踏み台」として利用されれば、関係がなくても個人情報が取得される場合もあるとして、それが「弾圧などに利用される可能性は払拭できない」と指摘しました。
井上氏は「アクセス・無害化措置」が他国から武力攻撃だと見なされる危険についても質問。政府は「緊急避難」(緊急状態)等の国際法上の法理を援用することで同措置の違法性を阻却(取り外すこと)できると主張しています。
井上氏はサイバー空間と主権侵害等に関して、民間団体の研究成果「タリン・マニュアル2・0」と比べ、同法案に書かれている要件では違法性の阻却は国際的に「認められないのではないか」と指摘。齋藤氏は、政府は緊急避難の要件を甘く見ており「緊急避難の要件を満たさない無害化措置をやるリスクがある」と警鐘を鳴らしました。