2025年5月8日(木)
学術会議同意なく独立性脅かす
梶田前会長ら解体法案批判
衆院委参考人質疑
衆院内閣委員会は7日、日本学術会議を解体する法案の参考人質疑を行いました。前学術会議会長の梶田隆章氏は法案に強い懸念を表明。「学術会議との真摯(しんし)な協議を欠き、同意を得ないまま、組織・(会員)選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性・自律性を脅かす懸念がある」と述べ、再検討を強く求めました。(参考人の陳述要旨)
![]() (写真)発言する梶田隆章参考人=7日、衆院内閣委 ![]() (写真)発言する福田護参考人=7日、衆院内閣委 |
塩川議員が質問
法案は、国の特別の機関である学術会議を特殊法人化し、首相任命の監事や外部者でつくる会員の選定助言委員会などを新設します。
梶田氏は、学術会議は自律的に改革の方策を議論し実行してきたと述べ「新たな学術会議法を求めたことはない」と強調。「科学者の総意の下に」設立されると明記した現行法の前文を法案は削除していると批判し「科学者の総意の下と言えない組織が学術的に国を代表する機関なのか」と述べました。
梶田氏は、法案では国が幾重にも学術会議を監督する仕組みになっていると指摘。補助金は政府の裁量によるので不安定だと懸念し、法人発足時に特別な方法で会員を選考するのも「極めて不自然」だと強調しました。
日本共産党の塩川鉄也議員は、法案の会員選考は学術会議の自主性・独立性を損なうのではないかと質問。梶田氏は主要国のアカデミーはいずれも現会員が自律的に選考していると答弁しました。
日本弁護士連合会憲法問題対策本部副本部長の福田護氏は、政府が法案の目的としている「独立性の徹底」との説明は成り立たないと主張しました。菅義偉首相(2020年当時)による会員任命拒否に対し理由の説明と任命を求め続けていることなどから分かるように「学術会議は十分に独立して活動している」と指摘。「学術会議の独立性を違法に侵害した任命拒否について政府自身の責任を放置したまま、逆に学術会議を廃止して新たな法人にしようとする本法案は本末転倒であり、法的正義に反する」と主張しました。
塩川氏は憲法23条が保障する学問の自由について質問。福田氏は、法案は学術会議への制約が非常に大きいとして「学術会議の中で学問の自由が貫かれるかは、大変大きな危惧を持たざるを得ない」と述べました。