2025年4月27日(日)
万博協会 指針を恣意的運用
「赤旗」排除に説明不能
日本国際博覧会協会による「しんぶん赤旗」排除は、本紙の告発や国会論戦、世論の広がりで記者会見への参加を認めざるを得なくなりました。一方で、記者会見以外の取材参加は拒んでいます。しかし、なぜ記者会見しか認めないのかまともな説明もできず、多額の税金が投入された万博で、公正・公平な運営に背を向ける協会の姿勢が問われます。
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協会は万博取材に関して「メディアガイドライン(指針)」を策定。取材に不可欠な「メディア用AD証(関係者入場証)」は、(1)報道機関(2)フリーランス(3)インフルエンサー(フォロワー10万人以上)(4)その他―に発行すると明記し、「赤旗」は「その他」に該当すると認めています。
AD証は、入場期間1カ月以上は「通期パス」、1カ月未満は日にち指定の「デイパス」をそれぞれ取材者の申請に基づき発行すると明記。これに従えば、閉幕まで取材計画がある「赤旗」には「通期パス」を出さなければなりません。
ところが協会は、週1回行われる記者会見のみに参加するための1日デイパスしか発行していません。その理由について広報報道課は「愛知万博などの参加実績から判断した」と説明しますが、メディア指針にはそんな要件は書かれていません。「赤旗」は愛知万博などで記者会見だけではない入場証が発行されていました。協会は指針に反して恣意(しい)的な扱いをしていることになります。
この問題は国会でも日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員が「メディア指針のどこにそんな規定があるのか」と追及(23日)。経産省は「協会の裁量の範囲」としか答えられず、武藤容治経産相も「政党機関紙は報道機関とは扱いが異なる」と指針にもない説明しかできませんでした。「裁量の範囲」どころか「裁量の乱用」に他なりません。
しかも協会は、報道機関としないフリーランスやインフルエンサーに通期パスを発行。「赤旗」には「実績」を持ち出して制限しながら実績もないインフルエンサーに通期パスを出すというのは矛盾の極みです。
武藤氏は「(愛知万博時は)インフルエンサーがあったか分からない」としか言えず、辰巳氏は「恣意的に排除している。差別的扱いは許されない」と批判。協会に都合のいい者だけに取材を認めることになりかねないとして「赤旗」への全面的な取材許可を求めました。一部のフリー記者も排除されており、国民の知る権利、報道の自由を踏みにじる姿勢が問われます。