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2025年4月25日(金)

主張

米兵女性暴行続発

米軍任せでは犯罪なくせない

 何度、「またか」と言わなければならないのか―。23日に明らかになった沖縄での米海兵隊員による2件の性的暴行事件について、地元紙が伝えた県民の怒りの声です。

 沖縄県警が同日明らかにした事件の一つは、今年3月に20代の海兵隊員が沖縄本島内で成人女性に性的暴行などを加えたとして不同意性交と傷害の容疑で書類送検したというものです。もう一つは、今年1月、本島内で知人の成人女性に性的暴行をした疑いで、別の20代の海兵隊員を書類送検したものです。

 報道では、3月の事件の現場は米軍基地内のトイレで、海兵隊員が待ち伏せして基地従業員の女性を襲い、助けにきた別の女性を蹴るなどしてけがを負わせたとされます。

■再発防止効果なし

 沖縄では2023年12月、米空軍兵が未成年の少女を誘拐し性的暴行を加えた事件が起こりました(発覚は昨年6月)。その後も米兵による性的暴行事件が次々と明らかになり、昨年12月には少女暴行事件に抗議し再発防止を求める沖縄県民大会が開かれていました。23年12月の少女暴行事件以降に発生した沖縄での米兵による性的暴行事件は、今回分かった2件を含め7件に上る異常事態です。

 昨年7月、米軍は相次ぐ性的暴行事件を受け、米兵に対する教育の改善、基地を出入りする米兵への飲酒検問の強化など再発防止策を発表しました。同年10月には、基地外の米兵の行動を規制する「リバティー制度」を見直し、午前1時から5時まで飲酒を目的にする施設への立ち入りなどを禁止しました。

 しかし、こうした再発防止策はまったく実効性を持ちませんでした。しかも、23年12月の少女暴行事件が午後6時に発生していたことから、そもそも深夜の飲酒制限などが事件の再発防止にはならないことが指摘されていました。

 昨年1年間の米軍関係者(軍属や家族含む)の刑法犯の検挙件数・人数は73件80人と過去20年で最多となっています。性的暴行事件以外の犯罪に関しても、米軍の対応がまったく再発防止策になっていないことを示しています。

■地位協定の改定を

 今年3月の事件で見過ごせないのは、容疑者の身柄が日米地位協定に基づき米軍基地内に留め置かれていることです。報道によると、容疑者は今も米海兵隊基地キャンプ・ハンセンにいるとされます。

 地位協定は、米兵などが公務外で事件を起こした場合、日本側に第1次裁判権があるものの、米側が身柄を確保していれば起訴までは米側が拘束するとしています。米兵犯罪を抑えられないのは、日本側が容疑者を逮捕できず取り調べも制約されるなど、差別的・特権的な仕組みが要因の一つです。

 米軍が再発防止にまともに取り組んでいないことははっきりしています。日本政府も綱紀粛正を求めるだけではなく、実効ある対策を米側に強く迫り、実際に実行しているかを検証できるようにすべきです。

 同時に、米軍の特権を保障する日米地位協定の抜本改定、米軍基地の縮小・撤去が不可欠です。


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