2025年4月20日(日)
どうする競争教育、長時間労働、不登校
子ども大切にする教育ともに
京都「教職員のつどい」 志位議長が語る
![]() (写真)パネルを示しながら質問に答える志位和夫議長=19日、京都市中京区 |
日本共産党京都府委員会は19日、京都市内で「いつものグチが希望に変わる! 志位和夫さんと語り合う教職員のつどい」を開きました。府内の教職員らが参加し、現場の困りごとやモヤモヤを出し合い、政治に何ができるのか志位議長と一緒に考えました。志位氏は、過度な競争教育のルーツや教職員の長時間労働の改善策、増え続ける不登校と学校のあり方、教育無償化など、寄せられた質問に一問一答形式で打開の展望を語り、「政治が変われば、教育はガラッと変わります。ともに政治を変える闘いを」と入党を呼びかけ、その場で入党を申し込む人もいました。(関連記事)
最初の質問は、日本の過度な競争教育と、北欧などの子どもの権利を尊重する教育、競争で優劣をつけない実践など、日本との違いについてです。
志位氏は、「過度な競争教育は、日本の教育の最大の問題です。テストで『できる子』『できない子』にふるい分け、序列化することでみんなが傷つき、百害あって一利なしです」と強調しました。
ヨーロッパでは一点差を争わせるような高校入試はなく、デンマークやフィンランドなどでは教育から競争主義をなくす努力がされていると紹介。「民主主義の基本は人間が人間として尊重されることと考えられ、競争原理を教育に持ち込むことは民主主義にてらして許されないとされています」と話しました。
一方、日本の過度な競争教育は、政治によって、「競争原理」を「教育の原理」として押しつけることによってつくられてきた、きわめて根深いものであることを指摘。そのルーツは戦前にあるとして、「教育勅語」などによって天皇に忠誠を誓う人間をつくることが教育の目的とされ、「忠誠競争」が教育に押しつけられたと語りました。
戦後は、敗戦後の一時期をのぞいて、財界に都合のよい「人材」づくりが教育の目的とされ、「能力主義」「競争原理」を教育に押しつけ、2006年の教育基本法改悪のさいに、全国一斉学力テストが導入されたと批判。「競争原理」を根本から見直し、子どもたちの知的探究心や好奇心を育て「分かる」喜びを伝える教育への改革の必要性を語りました。
続く質問は教員離れの一因にもなっている長時間労働をどう改善するか。
志位氏は、「最大の問題は国の制度が長時間働かなければならない仕組みになっていることです」として、(1)「定額働かせ放題」の原因となっている「教員残業代ゼロ制度」の廃止(2)授業量に見合った教員の抜本的増員―の2点を強調。政府の教員給与特別措置法改定案では二つの大問題が改善されていないと批判し、二つの改革を求めて闘いたいと話しました。
「不登校が増え続けている。子どもが喜んで通える学校にするにはどうしたらいいか」との質問も。
志位氏は、2000年代に高止まりしていた不登校が、「競争と管理」教育をエスカレートさせた第2次安倍政権(12~20年)以降に急増したと指摘。不登校の子どもの多くが心に傷を負った状態にあり、安心して過ごせる場と休息が必要だと述べ、子どもの公的な居場所を豊かにし、フリースクールへの助成に踏み込むことや、親への支援を手厚くすることを求めていきたいと話しました。
同時に不登校問題を教育のゆがみの集中的な表れと捉え、教育や学校のあり方を根本から改革することが必要だとし「五つの改革」を提案。(1)子どもと学校を点数競争に追い込む全員対象の全国学力テストの中止(2)管理教育・規律絶対の教育を見直す(3)カリキュラムの詰め込みの改善(4)少人数学級の推進(5)政府の間違った教育政策から子どもたちを守る「防波堤」となってきた教員と教員集団の自由を保障する教育への改革―を提案しました。
自民・公明・維新の合意で進む「高校授業料無償」について質問がありました。
志位氏は、教育の無償化は日本共産党の一貫した主張だとして、「維新が言っているからといって、無償化自体は決してうさんくさいものではありません。それ自体は良いことです。みなさんの運動と私たちの闘いが勝ち取ったものです」と強調。同時に、「絶対に許せないのは無償化と引き換えに維新が進めている大軍拡予算の強行や4兆円の医療費削減です」「大阪で維新が公立高校つぶしを進めていることも断じて許せません」と指摘しました。
その上で「教育の成果は社会全体に還元される性格があり、その点からも社会全体で支える無償が当たり前です」と述べ、1970年代以降日本に持ち込まれた受益者負担主義から決別し、公費負担が当たり前の日本にしていこうと訴えました。
最後に志位氏は、「子どもたちにとって良い教育をつくるための努力とともに、政治を変えることが大きな力になります。政治を変えれば、教育はガラッと変わります」と述べ、共産党に入党し一緒に政治を変える闘いを進めようと熱く訴えると、参加者が大きな拍手で応えました。
公立や私学の教員が現場の実態を訴え、志位氏は、その一つひとつに丁寧に答えました。