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2025年4月19日(土)

参院本会議・能動的サイバー防御法案

井上議員の質問(要旨)

 日本共産党の井上哲士議員が18日の参院本会議で行った能動的サイバー防御法案に対する質問の要旨は次の通りです。

 本法案で膨大な個人情報を政府が吸い上げられる仕組みがつくられます。石破茂首相は「通信の秘密への制約が公共の福祉の観点からやむを得ない限度にとどまる」と、通信の秘密を侵害する場合があると認めました。法案は基幹インフラ事業者に加え、民間事業者と協定さえ結べば、利用者の通信情報を送受信者の同意なく電気通信設備から取得することを可能としています。協定内容を利用者に公表する規定はなく、利用者が知らない間に、政府により多くの国民の通信情報が取得されるのではないですか。

 政府は自動選別で機械的な情報のみ取得されるので通信の秘密は守られるとしています。機械的情報には、サイバー攻撃に関係する「機器などの操作が容易になると認めるに足る情報」も含まれています。政府による恣意(しい)的な選別が行われない保証はあるのですか。

 警察や自衛隊が国外のサーバーに侵入監視し、プログラムの停止や削除を行うアクセス・無害化措置は、相手国への主権侵害となる恐れがあります。石破首相は「国際法上の許容範囲で行うのは当然」だなどと、「緊急避難」等の国際法の法理を援用して違法性を阻却できるかのように述べていますが、そのような国際的な合意は形成されていないのではありませんか。

 米太平洋軍司令官や国家情報長官を務めたデニス・ブレア氏が昨年5月の産経新聞のインタビューで、能動的サイバー防御による能力向上は「自衛隊と米軍の統合運用」を大きく高めると発言しています。警察と自衛隊にアクセス・無害化措置を行わせるのは、自衛隊と米軍の統合運用を高めるために米国から求められたからではありませんか。

 2019年4月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)でサイバー攻撃が日米安全保障条約の適用上武力攻撃を構成しうると確認しています。直後の参院外交防衛委員会で、私の質問に当時の岩屋(毅)防衛相は「サイバー攻撃でも、物理的攻撃と同様の深刻な被害が発生し、相手方により組織的、計画的に行われていると判断される場合、武力攻撃に当たり得る」、自衛隊が「必要な武力の行使として、物理的手段を講じることは排除されていない」と答弁しています。日本が行ったアクセス・無害化措置を相手国が「深刻な被害」と判断すれば、わが国からの武力攻撃とみなして、物理的な手段で反撃することもありうるのではありませんか。

 自衛隊は在日米軍へのサイバー攻撃でも同様の措置をとるとしています。日本への攻撃がないのに日本がアクセス・無害化措置を行えば、先制攻撃と見なされるのではありませんか。戦争につながる恐れのある危険この上ないもので、法案は断固廃案にすべきです。


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