2025年4月19日(土)
衆院本会議・学術会議解体法案
塩川議員の質問(要旨)
日本共産党の塩川鉄也議員が18日の衆院本会議で行った学術会議解体法案についての質問の要旨は次の通りです。
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2020年10月、菅首相が6名の学術会議会員任命を拒否したのは、学術会議の推薦に基づき首相が形式的に任命するという確定した法解釈を覆すもので、到底許されません。しかも、同年6月、学術会議が候補選考中の段階で、官邸側が学術会議事務局に6人を選考対象から外すよう求めていた文書が明らかになりました。政府は任命拒否の理由、事前介入の経緯をすべて明らかにし、任命拒否を撤回すべきです。
任命拒否問題を棚上げにしたまま、学術会議の在り方の問題にすり替えた政府に、法案を提出の資格はありません。
現行法は戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たした痛苦の反省の上に、「学問の自由」を保障する日本国憲法を具体化したものです。
現行法の前文は「科学が文化国家の基礎」であり「平和的復興、人類社会の福祉に貢献」すると学術会議の使命をうたっていますが、本法案はこの前文を削除し、学術を「経済社会の健全な発展の基礎」「社会課題の解決に寄与」するものと置き換えています。
本法案は憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものではありませんか。
学術会議は政府からの独立を保障するルールを厳格に定め、学術の立場から政府の政策に反する提言や勧告も行ってきました。
法案は、現行法の「独立して職務を行う」を削除し「法人とする」と定め、学術会議の組織・運営に関する事務を内閣府の所掌事務に位置づけています。学術会議を政府の監督の下に置かれる組織へと変えるものではありませんか。
さらに、学術会議の運営・財務に、政府や学術会議以外の者が介入できる仕組みを設けています。
本法案は外部者で構成される「監事」、「日本学術会議評価委員会」、「運営助言委員会」を新設し、学術会議の「中期的な活動計画」に評価委員会が意見を述べることとしています。これらの規定は、学術会議の運営・活動における政府からの独立性・自主性・自律性を剥奪するものではありませんか。政府からの独立が確保されなければ、学術会議の勧告権は失われるのではありませんか。
会員選考でも、法案は会員以外の者で構成される「選定助言委員会」を設置し、外部の意向が反映可能な仕組みを設けています。さらに、新たな組織の設立時の特別な仕組みを設けており、これまでの会員による選考方法を投げ捨て、会員をリセットするもの。会員選考での自主性・独立性を著しく毀損(きそん)すると言わざるを得ません。
科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、現行法の理念を全面的に否定し、学術会議から独立性・自主性・自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させる憲法違反の立法です。断固廃案を求めます。